出版社内容情報
「オトラント城綺譚」「ヴァテック」「死妖姫」(カーミラ)に詩篇「大鴉」……ゴシック文学の「絶対名作」を不朽の名訳で味わい尽くす贅沢な一冊!
内容説明
ホラー、ミステリー、SF、伝奇など、あらゆるエンターテインメント文芸の源流であるゴシック文学の豪奢で奥深き世界。その幕開けを告げた「オトラント城綺譚」と「ヴァテック」の両傑作に、掉尾を飾る「死妖姫」(「カーミラ」の本邦処訳)を加えた窮極の「三大名作」が、この一冊に!さらに、ポオ&ドレ&日夏耿之介による詩画集「大鴉」を併録。貴方を魔界へと誘う精華集。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年、神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。「幻想文学」「幽」編集長を歴任。ちくま文庫「文豪怪談傑作選」シリーズはじめ編纂・監修書多数。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花乃雪音
23
本書の編者による『ゴシック文学入門』と対をなす詩及び小説集。『大鴉』『アッシャア屋敷崩るるの記』『オトラント城奇譚』『ヴァテック』『死妖姫』収録。『アッシャア屋敷崩るるの記』は文語訳断片、『ヴァテック』は初訳版、『死妖姫』(吸血鬼カーミラ)も初訳版である。そのため総じて翻訳の古さが否めない。ゴシック文学の古典集であるとともに日本におけるゴシック文学の受容を知らしめる1冊だった。2020/11/27
Ribes triste
14
平井呈一訳「オトラント城綺譚」を読みたくて手に取りまし たが、充実の中編集でした。美しいドレの細密画の「大鴉」、「アッシャア屋形崩るるの記」、「ヴァンテック」、「死妖姫(カーミラ)」。いずれも読みごたえがありました。研ぎ澄まされた日本語の音と調子、語彙の豊かさ。古くなった言葉はいずれは消えてゆくのかもしれませんが、味わい深い一冊でした。きっとまた読み返します。2020/11/12
ハルト
11
読了:◎ ゴシック文学として著名な「オトラント城綺譚」「ヴァテック」「死妖姫(カーミラ)」と、ポオ、ドレの詩画集「大鴉」「アッシャア屋敷崩るるの記(断片)」が納められている。ゴシック文学を代表するだけあって、おどろおどろしく読み応えがあり、おもしろい。中でも、平井呈一訳の「オトラント城綺譚」はこれぞゴシック文学という形で、リズムもよく好みだった。どれも訳出が昔のものゆえ古色たる訳だったが、それが物語の雰囲気となじんで合っていたと思う。このシリーズが続くのならまた読みたい。2020/12/14
クロノ
3
収録作は大鴉(詩画集の方は幻想的なイラストたくさんで雰囲気はよかった)とアッシャア屋形崩るるの記はかなり難解でよく分からなかったが、オトランド城綺譚、ヴァテック、死妖姫は名作の評に違わず面白かった。3作品の訳文は確かに古いが、読みやすく訳者の個性が作品とマッチしていて名訳だと思った。この訳で収録した編者グッジョブ。満足の一冊。2021/04/01
アル
2
大変に面白いが、読むのに体力が要った本。 重厚な擬古文の日夏耿之介、時代物の講談を思わせる平井呈一、昭和前期の文体が落ち着く矢野目源一と野町二、と、それぞれの文体が古くはあっても味わい深い。 収録作はポー以外はどれも初めて読んだ作品だったが、さすが名だたる名作だけあってどれも面白かった。2022/02/24