出版社内容情報
自分の足で当事者にせまり、すさまじい好奇心で対象に肉薄する見聞録にして、すぐれた文明論。たぐいまれな観察眼をもつ立花隆ならではの傑作紀行!
内容説明
日本赤軍の岡本公三に中東で獄中インタビューを敢行してテロリストの論理と美学に肉薄し(第1章)、マンハッタンをくまなく歩いて人間の欲望の到達点を予見し、エイズ禍のニューヨークで疫病と人類の関係を歴史的視座から考察する(第4章)。自分の足で当事者にせまり、すさまじい好奇心で対象に接近する見聞録にして、すぐれた文明論。ジャーナリスト立花隆の傑作紀行!
目次
1 パレスチナ報告(パレスチナ報告;独占スクープ・テルアビブ事件;アメリカの世論を変えたパレスチナ報道;自爆テロの研究)
2 ニューヨーク研究(ニューヨーク’81;AIDSの荒野を行く)
著者等紹介
立花隆[タチバナタカシ]
1940年長崎県生まれ。東京大学仏文科卒業。ジャーナリスト・評論家。知的欲求を森羅万象にまで及ばせているところから「知の巨人」のニックネームを持つ。主な受賞歴に、菊池寛賞、講談社ノンフィクション賞、毎日出版文化賞など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
20
本巻には、パレスチナ関連やニューヨークに関するレポートなどが収録されている。 パレスチナ関連では、その歴史が簡潔に述べられ、パレスチナ問題を理解するための格好の論稿になっていると思う。 ニューヨーク関連も読ませる。世界の帝都のようなニューヨーク。経済やブロードウェイに代表される娯楽などあらゆるものを発信するニューヨーク。そこは差別の都市でもある。移民への差別、後から流入した移民への更なる差別、その底辺に黒人やプエルト・リコの人々がいる。 →2022/05/27
Tadashi_N
8
パレスチナ問題の根深さ、病気による差別。2024/01/11
ブラックジャケット
8
中東問題は専門家の言葉なしには語れない。現地に飛ぶ、著者のフットワークは実証的で説得力がある。ユダヤ人、イスラエル国民、シオニストと細かく分析すれば、それだけでも腰の入った論理が展開される。アラブをアラビア語文化圏と 認識すれば地図上の国境線も言える。パレスチナ人との争いも時間軸に沿って、詳しく論じる。まさに知の巨人。後半のアメリカ編は、911の自爆テロ論をのぞき、80年代のNY荒廃時代、90年代初めのエイズ問題と、いささか旧聞に 属する話題で、ストライクゾーンを外れる。最新のアメリカは、またの機会へ。 2021/01/04
Hiroshi
5
下巻はパレスチナ報告とニューヨーク研究だ。パレスチナ報告は1972年とその2年後のもの。アラビア語は文語と口語が画然と違う。文語は古典語でコーランのアラビア語がその範とされる。口語のアラビア語は地域によって大幅に違う。ラテン語から発生した欧州各国語みたいだと考えれば良い。アラビア語はその特有の音韻構造から韻を踏ませることが容易い。詩人の地位が高いのだと。パレスチナ問題とは非常に複雑だ。パレスチナ人はユダヤ人とは仲が良く、戦っているのはシオニストだという。ユダヤ人の中でシオニストは多数派になったことがない。2023/07/19
juunty
2
イスラエル・パレスチナ問題についての記述が簡潔でよく整理されている。1970年後半から1980年代初頭にかけての分析があり、中東戦争に近い時代のものなので、当時の時点での見解を示したもの。また、911テロから数日後に書かれた文章もあり、こちらも事件直後の分析として切迫したものを感じる。単なる旅行の記録文ではない。2022/01/22
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