出版社内容情報
歴史の見方に「唯一」なんてあり得ない。君にはそれを知ってほしい――。一国史的視点から解放される、ユーモア溢れる日本史ガイド! 解説 保立道久
内容説明
自分の国の歴史を学ぶ―その「勉強」には、一体どんな意味があるのだろう。「日本」と呼ばれるこの国は、一体どうやって生まれたのだろう?たった一つの視点からでは、歴史を語ることはできない。言語、宗教、文化、戦争…。周辺国との複雑で密な交わりこそが、この国の過去を楽しむ鍵になる。凝り固まった一国史観から解放される、ユーモア溢れる日本史ガイド!
目次
剣の章(なぜこの本を書くのか;全体像を示したい ほか)
心の章(紀元節神話とは;宗教が語る日本古代史 ほか)
宝の章(改新の詔はいつ作られたか;官人の誕生 ほか)
鋤の章(中世人のたくましさ;めまぐるしい十二世紀 ほか)
著者等紹介
小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は中国思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
48
歴史とは、良く言われる通り後世の人間が都合の良いように、また、時の権力者が都合の良いように捏造されているものである。人類の過去の出来事をツブツブで語っても仕方なく、大局的に物事を捉えなさいと教えている本だと思います。突き詰めれば、歴史とは何のための学問かについて述べている本だと思います。過去を省みて、次世代に活かしていくための学問が歴史学であり、そのためには過去に起こった事件の本質を正しく捉える必要があることを述べている本だと思います。こ難しいことを書きましたが、実際は楽しく読める本でした。2019/12/11
s-kozy
38
中国思想史を専門とする著者が15歳の娘を対象に日本の歴史を語った本。歴史という過去から何を学ぶべきなのか、わかりやすく読みやすい文章で述べられている。読んで損はない、お勧め。続きの「近現代史」も読んでみよう。2020/01/02
Hiroshi
8
中国思想史を専門とする著者が15歳になる娘に書いた日本史の本。ネルーが娘のガンジーに書いた「父が子に語る世界歴史」を模したもの。日本史では、専門的研究の現場と一般社会における理解の水準との間に大きな隔たりが生じている。国民がきちんとした歴史を知らずに変な方向に暴走することを危惧して書いた。日本の歴史は、日本だけで歴史を紡いできたのではない。日本という枠の中だけではなく、世界の歴史を踏まえて考えていく。歴史の見方として、歴史上の人物の行動を正しかったか否かという視点でみるのは後世の者の奢りだと著者は言う。2019/11/30
Ryoichi Ito
6
ネルーの「父が子に語る世界歴史」にちなんだ「日本史」だ。高校科目で「日本史」と「世界史」が別科目になっているのはおかしいと著者はいう。実際,本書は著者が中国思想史の専門家だけあって,日本と中国の関わりが随所に述べられる。また,「歴史」は後の世代が書くので必ずしも事実でないことが多い。例えば聖徳太子が実在したかどうか,大化の改新の内容などについて論争が続いている。明治維新は頼山陽が儒学思想で書いた「日本外史」の強い影響がある。司馬遼太郎の小説をそのまま事実として受け入れるべきではなかろう。 2023/01/30
Yoshihiro Yamamoto
3
A+ 現在から過去の出来事を見れば、無謀と思われることも、その時代の人の視点に立てばさほど無謀とも思われないことがある。19世紀以前の日本では、12世紀(1086〜1185)が一番変化が激しかった。院政が始まり、平家の興亡、鎌倉幕府の成立。政権がコロコロ変わる世の中。後鳥羽上皇が企てた「承久の乱」は「無謀」と思ったいたが、その時代の当事者としては、大いに政権交代の可能性(勝算)を持っていたのだろう。歴史を考える際に、その時代に身を置いて、誰がなにを考えていたのか、真剣に考えることが重要だと気付かされた。2020/01/07
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