内容説明
「日本のシェイクスピア」「言葉の魔術師」と評され、多彩な執筆活動を続けた著者のエッセイ作品の中から主に文学・人・ことば・演劇・笑い・家族、について書かれた作品を夫人が精選。「最良の井上ひさし」入門ともなるよう編まれたエッセイ集。
目次
お話しをつくる人が好き(『ハムレット』と『かもめ』;チェーホフの机 ほか)
ことば・コトバ・言葉(わが言語世界の旅 ほか)
こころの中の小さな宝石(春のハモニカ;自分の好きなもの ほか)
ユートピアの時間(NHKに下宿したはなし;ニセモノへの賭け ほか)
むずかしいことをやさしく(心の内昭和は続く;ジャックの正体 ほか)
著者等紹介
井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934年山形県生まれ。作家・劇作家。上智大学卒業。「ひょっこりひょうたん島」など放送作家として活躍ののち、72年に「道元の冒険」による岸田國士戯曲賞、「手鎖心中」で直木賞受賞。81年「吉里吉里人」により日本SF大賞・読売文学賞を受賞。83年「こまつ座」を創立し、「頭痛肩こり樋口一葉」「人間合格」他、多くの戯曲を書き下ろし上演。99年菊池寛賞、01年朝日賞受賞、04年文化功労者。2010年逝去
井上ユリ[イノウエユリ]
1953年生まれ。料理研究家。87年、井上ひさしと結婚(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
107
井上ひさしさんの奥さんが選んだエッセイ集。戯曲のこと、テレビの仕事の話。子供の頃の思い出、家族のこと他どれも読みやすくて面白かった。氏の名言に『むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと』 『まじめなことをだらしなく、だらしないことをまっすぐに、まっすぐなことをひかえめに、ひかえめなことをわくわくと、わくわくすることをさりげなく、さりげないことをはっきりと』 存命なら今の世の中、政治やコロナをどう風刺しただろう。図書館本2021/10/27
pirokichi
23
奥様の井上ユリさんが選んだエッセイ65篇。面白かった。笑った。1章目の「お話しをつくる人が好き」は特に好きだった。シェイクスピア、チェーホフ、魯迅、宮沢賢治、井伏鱒二、斎藤茂吉、藤沢周平、池波正太郎、色川武大、夏目漱石…。井上さんのお話しをつくる人に対する好きっぷりにこちらまでうれしくなってしまう。先日亡くなられたさいとう・たかをさんを擬声語案出の名人上手とあったのには大きく頷いた。編者あとがきに「全部面白いのに…」とあり、全部読みたいなあと思った。2021/11/10
yyrn
21
司馬遼太郎の足跡をたどる本とこの本を一緒に読んでいたが、やはりこちらの方が先に読み終わった。面白いし懐かしい。いや懐かしいし面白いかな。井上ひさしの文章はたまにクドイが、短いエッセイを集めた本だったせいか読みやすく、特に前半は抜群に面白かった。作家や評伝に関するモノ17編、コトバに関するモノ14編、幼年時代の思い出や心情に関するモノ13編、創作に関するモノ12編、社会問題に関するモノ9編。昭和の思い出の中に埋もれさせるにはもったいない文章が多く、ぜひ多くの皆さんにも読んでもらいたいと柄にもなく思った(笑)2020/04/07
みち
15
佐藤優さんが解説だったので買ってみましたw井上ひさしさんの本は全く読んだことが無かった。奥様が選者だけあって、この1冊で井上さんがどのような方なのか、多面的に分かるようバランス良く選ばれている。言葉に対する研究心、発想の豊かさ、真摯さ、正に文章を書く為に生まれたような人だと思った。どの話も、面白く、為になる。最後のボローニャの話も感動しました。調べたら、ボローニャ紀行の本も出版されていたので、また読んでみたいです。2019/08/16
sine_wave
12
井上ひさしさんのエッセィ集を初めて、しかもまとめて読ませてもらったが、それぞれとても心にずっしりと応えた。その中でもこどもにつたえる日本国憲法よりに「どんな国も自分を守るために軍隊を持つことができる けれども私たちは 人間としての勇気をふるいおこして この国がつづくかぎり その立場を捨てることにした」とある。憲法改正の論議がある中、もう一度この文をかみしめてみたい。2019/07/29