出版社内容情報
大好評の『絶望図書館』第2弾! もう思い出したくもないという読書体験が誰にもあるはず。洋の東西、ジャンルを問わずそんなトラウマ作品を結集!
内容説明
誰しも、子供の頃などに読んで、トラウマのようになってしまっている物語があるもの。タイトルも作者も忘れてしまっても、物語の肝心なところは、忘れようにも忘れられない。そして、もしかすると、それを読んだことが、今の自分に大きく影響しているのかもしれない…。そんな物語ばかりが集めてある文学館。ここを訪れてしまったら、出てくるときには、もう前と同じ自分ではいられない…。
著者等紹介
頭木弘樹[カシラギヒロキ]
文学紹介者。筑波大学卒。大学三年の二十歳のときに難病になり、十三年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。その後、編訳や監修の本を多数出す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
119
わたしは頭木さんの「絶望名言」をラジオ深夜便で聞いてから、この方の編纂する作品集などを結構読んできて注目しているのですが結構楽しめました。12の作品の中にはコミックも2作収められていてトラウマというよりも、かなり厳しい状況の場面が多いような作品集でした。韓国の作家の「テレビの受信料とパンツ」という作品が一番印象に残りました。2024/10/03
kinkin
113
サブタイトルはひどすぎる無視できない12の物語。冒頭の1971年少女漫画雑誌に発表されたマンガ直野祥子「はじめての家族旅行」に尽きる。自分にも同じような経験があるのでいまだにトラウマだ。筒井康隆の「走る取的」これは他の本でも紹介されているが何度読んでも主人公の切迫感と恐怖が伝わってくる。白土三平の「野犬」も面白かった。図書館本2019/04/03
青蓮
98
どれも理不尽で救いようのない物語ばかり。大好物です。心を深く抉り、死ぬまで消えない傷痕を残す作品は案外少ないのでは。そう言う意味でこのアンソロジーは秀逸。一番恐怖を感じたのは筒井康隆の「走る取的」。何度振り払っても追ってくる恐怖もさることながら物事に意味や理由が無いと人間は耐えられないということを痛感させられました。白土三平の「野犬」のラストにある文言が冷徹。でも実際、現実はそういうふうに成り立っていると思う。冒頭のカフカの言葉と巻末のオコナーの言葉には痺れた。次は自殺をテーマにしたアンソロジーが読みたい2019/04/05
harass
93
表題と収録作家名から手に取る。後味の悪い短編小説とマンガのアンソロジー。ディックの短編「なりかわり」は題名はすっかり忘れていたが読み出してすぐにあれだと思いだした。嫌なだけでなくそのアイデアと展開に舌を巻く。筒井「走る取的」は定番、フラナリー・オコナーの「田舎の善人」も再読でも虫唾が走るのだが、初読の深沢七郎「絢爛の椅子」に感心。作品のチョイスはいいと思うが、この編者がいろいろ喋りすぎで少し気に食わないと思ったが、いまの本が売れない時代のアンソロジーだと以前のよりも多めの解説がないと読んでくれないのかと。2019/05/22
rico
74
トラウマ=救いがない、理不尽・・・て感じかな。 PKディックはわかりやすくアイデンティティのゆらぎを突く。筒井は多分既読。笑えるけど怖い。他の作品も楽しめたけど、ある意味1番怖いのは、冒頭の漫画「はじめての家族旅行」。取り返しのつかない過ちってあるんだよ、て子供には相当きついメッセージ。編者の頭木さんは「元気なときにお読みください」と書いてるけど、最近はイヤミスもあるし、やりきれない事件も頻繁に起こってるし・・で、あんまり元気じゃなくてメンタルも強くないけど、わりと平気で読んでしまった。大丈夫か、私。2019/03/22