出版社内容情報
元オーストリア陸軍少尉ヴィトーリンは、捕虜収容所での屈辱を晴らそうと革命後のロシアへ舞い戻る。仇の司令官セリュコフを追う壮大な冒険の物語。元オーストリア陸軍少尉ヴィトーリンは、捕虜収容所での屈辱を晴らそうと革命後のロシアへ舞い戻る。仇の司令官セリュコフを追う壮大な冒険の物語。
レオ・ペルッツ[レオペルッツ]
著・文・その他
垂野 創一郎[タルノ ソウイチロウ]
翻訳
内容説明
元オーストリア陸軍少尉ヴィトーリンは、大戦中に捕虜収容所の司令官セリュコフに受けた屈辱が忘れられず、復讐のためロシアへと舞い戻った。革命後の混乱のなか、姿を消した仇敵を探して旅を続けるヴィトーリン。ロシアとヨーロッパを股にかけた壮大な追跡行の果てに彼を待っていたものとは…。冒険に次ぐ冒険、若き日のイアン・フレミングが「天才的」作品と絶賛した、レオ・ペルッツの傑作。
著者等紹介
ペルッツ,レオ[ペルッツ,レオ] [Perutz,Leo]
1882年プラハ生まれ、ウィーンで活躍したユダヤ系作家。幻想的な歴史小説や冒険小説で全欧的な人気を博した。1938年、ナチス・ドイツのオーストリア併合によりパレスティナへ亡命。1957年没
垂野創一郎[タルノソウイチロウ]
1958年、香川県生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
138
読んだことを何度も反芻した。レオ・ペルッツは『アンチクリストの誕生』に続き2冊目。この2冊は、私にとって人生の導きとなるような、いわばバイブルに近いものかもしれない。主人公が信念とともにとる行動、決してあきらめない強さ。その間に彼が経験することを通じ、作者はロシア革命を描く。党に属さずとも本人の意志の有りようが大切なのであり、自分の行動から最終的に下した決断は、たとえそれが他の者と結果が一緒だったとしても、彼だけが清々しいのだ。恐慌や戦争でフイになる商売の成功とは違う、消えない財産を手に入れた彼に拍手を。2019/04/12
藤月はな(灯れ松明の火)
90
心躍る冒険活劇、ここに刊行!捕虜収容所時代に司令官に適当にあしらわれた恨みから復讐を誓ったヴィトーリン君。目的のためには手段も選ばないが、プライドを守れる手段は惜しみなく、採用する癖。行動力はピカイチだが、要領は悪く、ツメも甘いヴィトーリン君。そんな人間味溢れる彼に時に呆れ、笑いながらも意外すぎる顛末に驚きっぱなし。そして復讐劇の向かう先に待ち受けていたのは・・・。全ては事もよもなし。寧ろ、この冒険を個人で全て、味わえる事こそ、人生の財産だと思う。2019/05/10
星落秋風五丈原
48
その頃のロシアときたら政体ころころ入れ替わり、それに従い目指す相手は次から次へと所属を変える。テロリスト、帝政が忘れられない貴族、白軍、赤軍と、知らないうちにロシアの激動期を体験したヴィトーリンは、007もまっつぁおの冒険に遭遇。何があろうと脇目も振らず、ターゲット目指してまっしぐら。本作を激賞したイアン・フレミングあたりが描けばさぞやスーパーヒーローに描いてくれたろう。が、ぺルッツは彼が見ているものではなく、何を見ていないかを、ここぞとばかりに見せつける。スーパーヒーローも自己チューな迷惑男に早変わり。2019/01/15
Vakira
37
万有引力の法則。より引力の強い方へ林檎は転がる。オーストリアの青年将校ヴィトーリン、ロシア軍の捕虜となり恥辱。仲間たちと復讐を誓う。しかしながら解放されオーストリアに戻ると各々生活があり、復讐心は何処へやら。ヴィトーリンだけが林檎の引力の様に仇敵セリュコフに惹きつけられロシアからヨーロッパ・・・壮大な追跡劇。007の原作者イアン・フレミングが絶賛したとの解説あり。暗殺達成に向け、彼女との別離、関わった友人の死顧みず。もうそこには個人の復讐心だけではなく、絶対悪を倒す使命感。波乱万丈冒険小説でした。 2018/12/25
maja
24
元オーストリア陸軍少尉ヴィトーリンは捕虜時代に受けた屈辱をはらそうと、ただ一人、復讐のために再びロシアに舞い戻りロシア人将校を付け狙う。全てを顧みることなく、なにがあろうがぶれることなく、ロシア司令官の煙草を喫う仕草が粋だったというだけをも憎しみの糧として執念深くただひたすらに追跡する。ロシア激動の背景も彼を前に砕け散って後ろに舞っていくかのように見える。振り回される遠心力に一番遠くまで自然の表象のなかに最後に放り出されてだたひとりというような読後感を味わうのである。2019/02/22
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