出版社内容情報
大震災の直後に多発した朝鮮人への暴行・殺害。芥川龍之介、竹久夢二、折口信夫ら文化人、子供や市井の人々が残した貴重な記録を集大成する。
西崎 雅夫[ニシザキ マサオ]
著・文・その他
内容説明
1923(大正12)年の関東大震災。その直後から日本人による朝鮮人への虐殺行為が始まる。被害は中国人や、朝鮮人と疑われた日本人にも及んだ。内閣府の中央防災会議が出した「災害教訓の継承に関する専門調査会」報告書によれば被害者は数千人ともいう。芥川龍之介、折口信夫、和辻哲郎、志賀直哉、千田是也、黒澤明…、文化人、市井の人々、子供の作文、公的史料が伝える約180編を収録。
目次
自警団遊び―竹久夢二
子どもの作文
文化人らの証言 当時の記録
文化人らの証言 その後の回想
朝鮮人の証言
市井の人々の証言
公的史料に残された記録
著者等紹介
西崎雅夫[ニシザキマサオ]
1959年東京生まれ。明治大学在学中に「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し慰霊する会」(のちに「追悼する会」と改称)発足に参加。1984年より、都内足立区・江東区・江戸川区で公立中学の英語教諭として19年間勤務する。1993年の社会教育団体「グループほうせんか」設立時に代表世話人となる。2010年、「一般社団法人ほうせんか」設立。現在理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Satoshi
13
小学生の作文、文化人のエッセイから朝鮮人たちの証言まで、淡々と掲載されている。最後に公的資料まで紹介されており、関東大震災の朝鮮人虐殺は無かったと証言する人たちは何を根拠に主張しているのだろう。朝鮮人の方々の体験談は読んでいて辛い。在郷軍人会が中心となっていたとはいえ、一般市民も参加した虐殺がここまで残虐になるのかと陰惨たる気持ちになった。2023/12/30
チェアー
9
集団虐殺(ジェノサイド)は日本でも起きていたことを知る。理由もなく朝鮮人であることだけをもってかくも無惨に人間の生命を奪った。日本人に救っている差別性と残酷さを改めて思う。これは単に軍人や警察がやったということではない。普通に暮らしていた人々が手を下したのだ。 あまりにも辛い言葉が続くが、読み続けるほかはない。このことを知らなければきっと同じことを繰り返すから。2023/10/03
sansirou
6
小学生の作文、文化人らの証言、朝鮮人の証言、市井の人々の証言、公的資料に残された記録に分かれているが、どれを読んでも、「根も葉もない」噂によって、稀に見るような一般人による虐殺行為が行われたことがわかる。テレビもラジオもインターネットもない時代に、非常なるスピードで広まったこの根拠のない噂は、何に起因するのだろう。非常にの不安に駆られた人々の心に強烈に染み込んだ憎悪はなんだろう。2023/02/12
ひろゆき
4
関東大震災における朝鮮人虐殺の証言集。子供の作文、著名人、市井の人々、朝鮮人の証言からなる。著名人には中島健蔵、吉野作造、シャープの早川徳次、清川虹子、養老孟司の母君など多数。震災の異常事態のなか朝鮮人が井戸に毒を入れているなどの流言広まっての結果。中島は警察が介在しているのだから、流言とは言えないと弾劾。連行途中の朝鮮人にトビ口を頭蓋に打ち下ろしたり、逃げる者にツルハシで襲いかかったりと、凄惨な記録。尋問で言葉のおかしい者が被害に遭ったので沖縄の人なども殺害されたという。これだけの直接の目撃者がいた驚き2018/10/18
桐一葉
3
読み切るのに何ヶ月もかかってしまった。しんどかった。読んでいるとルワンダ大虐殺を思い出した。国や時代が違えど人の心を利用してけしかけ、罪なき人たちを痛めつけていることがよく分かる。文明の中で暮らしているのに野蛮な行いをさせられる恐怖と隣り合わせな気がする。絶対にこんなこと繰り返したくない。流言に騙されたくない。おかしいことはおかしいって言える世の中であってくれ。2025/05/09
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