出版社内容情報
不可解な状況で姿を消したエジプト学者は殺害されたのか? 複雑怪奇なミステリにソーンダイク博士が挑む。乱歩、カー推奨の英国探偵小説の古典。
オースティン・フリーマン[フリーマン,オースティン]
渕上 痩平[フチガミ ソウヘイ]
内容説明
エジプト学者ベリンガムが不可解な状況で忽然と姿を消してから二年が経った。生死不明の失踪者をめぐって相続問題が持ち上がった折も折、各地でバラバラになった人間の骨が発見される。はたして殺害されたベリンガムの死体なのか?複雑怪奇なミステリに、法医学者探偵ジョン・ソーンダイク博士は証拠を集め、緻密な論証を積み重ねて事件の真相に迫っていく。英国探偵小説の古典名作、初の完訳。
著者等紹介
フリーマン,R.オースティン[フリーマン,R.オースティン] [Freeman,R.Austin]
イギリスのミステリ作家。1862年ロンドン生まれ。医師から作家に転身、1907年、法医学者ソーンダイク博士を探偵役とした『赤い拇指紋』を発表。科学捜査を駆使するソーンダイク博士は短篇でも活躍し、シャーロック・ホームズと人気を競った。英国探偵小説界の巨匠の一人。1943年没
渕上痩平[フチガミソウヘイ]
元外務省職員。海外ミステリ研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
165
非常にじっくりと読ませる昔ながらの推理小説でした。この作家のほかの作品はいくつか読んだことがあり、シャーロック・ホームズのライバルのような感じのものでしたが。どちらかというと登場人物辰の会話からなぞ解きをしていくような気がします。いままでは創元推理文庫だけでしたがちくま文庫でこのような本を出版してくれるのはうれしい限りです。2017/05/02
HANA
67
タイトルから木乃伊の呪い的なおどろおどろしい内容を想像したけれども、実際読んでみると徹頭徹尾論理で煮詰めたような内容であった。奇妙な遺言状とそれを書いた紳士が行方不明に。という時点で身を乗り出したけど、事件自体はそこから混迷を深めていてさらに満足。てっきりアレがアレだと信じ込まされていたせいで、博物館のシーンではついあっけに取らた。種を明かされれば単純な事なのだけど、すっかり引っ掛かったなあ。ヒントもあったんだけど。解決篇も論理によってするすると事件が紐解かれていく快感。探偵小説の醍醐味を味わえました。2017/12/08
みっぴー
52
お、おおう、、、そうきたか!トリック、全然見抜けなかった(^_^;)ソーンダイクは短編しか読んだことがなかったので、長編にチャレンジ。うむ、納得の面白さ。連続殺人でもないし、クロサーでもない。おじさんが一人、消えるだけ(笑)それで450pです。後書きにもありましたが、フリーマンの作品は、読者に非常な集中力を求める。帰納論理学の練習になる、とまで書かれていました。確かに理解が追い付かない部分がかなりあったかも。それでも、訳が軽快でテンポも良いため、ストレスは感じませんでした。これは掘り出し物。2018/06/29
星落秋風五丈原
49
語り手は、ひょんな事からジョンの弟ゴドフリーと知り合いになった若き開業医のポール・バークリー。彼が以前、法医学者ソーンダイク博士の講義を受けていたことから探偵役の登場となる。博士はあくまで学者で探偵としての意識がない。よって特に自慢もせず、人当たりが良い当時珍しかったX線撮影が登場するが、本物を知っている人には「えっ?」という描写もあって御愛嬌。法律用語と骨の説明に頭がクラクラ(結構長い)した後は、今で言うなら草食系男子のポールと彼より一歩先を考える聡明なゴドフリーの娘との恋愛模様で癒されよう。2017/01/14
優希
44
面白かったです。エジプトというキーワードだけでときめきます。生死不明の失踪をめぐる相続問題が出たと思いきや、人の骨が見つかるとかオカルトっぽくて興味深いですね。謎解きにも引き込まれました。英国古典ですが、エジプト史の断片としても読める作品だと思います。2023/11/23