出版社内容情報
明治文学者の貧乏ぶり、死刑執行方法、ひとり酒ほか、長編エッセイ(表題作)をはじめ、旅、食べ物、読書をテーマとしたファン垂涎のエッセイ群。
山田 風太郎[ヤマダ フウタロウ]
内容説明
執筆上のうっかり話、明治の文学者の貧乏ぶりから死刑執行方法、はては「一握の牌」という歌つくりまで、妄想はばたく長編エッセイ(表題作)ほか、旅、食べ物、読書をテーマに、著者の万華鏡のような魅力があふれるエッセイ集。
目次
1 のんき旅(途中下車無用;山中の花;高士の旅 ほか)
2 食はおそうざいにあり(オキュート;ひとり酒;ばんめし ほか)
3 読書ノート(挫折した人間としてとらえる―『真説宮本武蔵』(司馬遼太郎)
人生の本―『漱石書簡集』
書店的書斎の夢 ほか)
4 風山房風呂焚き唄
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県養父郡の医家に生まれる。『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』などで数々の“風太郎忍法”を生み出し忍法帖ブームをまきおこす。1997年第45回菊池寛賞を受賞。2001年、7月28日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ribes triste
12
いいタイトルだなぁ、と思う。読書ノートと表題作の一連の随筆が面白い。風太郎氏の作家評が読めたのが嬉しい。様々な逸話をつなげていくのが、本当に上手いのです。作家のケアレスミスの話は読んでいて、笑ってしまいます。「崇る」と「祟る」、違いに気づくのに数分要しました。情けない。2016/08/30
Katsuto Yoshinaga
4
言いたい放題である。旅エッセイでは、「(古都や古墳に対して)消えて惜しいようなものが日本にそれほどあるか」「鄙びたなんて、ウス汚いの言い換えだ」等々を宣われ、食エッセイでは、「好きなものは、主菜10品、副菜10品、汁物10品程度で、ウィスキーに合うものを食す」と宣われている。実に愉快痛快である。読書や麻雀、別荘暮らしの身辺雑記なんかは、真摯であり奥ゆかしく、妙にとらえどころがない。これもまた、山風先生の魅力だろう。定期的に刊行されていた本シリーズも終了のようで、なんだか寂しい…2016/10/10
法水
4
「小説推理」に1年間連載された表題作(風山房は蓼科にあった著者の山荘の名前)の他、旅や食事、読書に関する文章を集めたエッセイ集。「T・K・K」と題された一篇はDAI語を先取りしたかの趣で最後のオチも含めて大笑い。「T・K・K」が何の略であるかはぜひ本書で確かめられたい。麻雀に熱中していた著者が石川啄木のパロディで作った「一握の牌」も面白い。「試運転中の夢の超特急ひかり」に推理作家仲間と乗る機会があったというのも貴重な証言。オリンピックの準備が間に合うのかという話も出てきて、今とシンクロする。2016/09/22
けけくち
1
風太郎ほぼ全読破チャレンジ4冊目。前半の旅パートでは、現代の中国人観光客が言われてるようなことを「日本人の国民性」とか決めつけてる。風太郎健在なら、諸行無常と笑うと思う。 後半で面白いのは、芥川の「奉教人の死」のサプライズを志賀が批判して、芥川がシュンとなるところ、それを正宗白鳥が「芥川は志賀なんか気にするな」と擁護するところ、そして著者が白鳥の言う通り「世界が違う」と断然芥川側に立つところ。全員実に「らしさ」があって良い。2024/08/21
でろり~ん
1
むっふっふ、と面白く読みました。昭和ですねえ。しかし、早い頃の海外旅行をハワイばっかりじゃなく、いろんな所へ出かけているようで、それが意外な感じでした。まあね、勝手に著者と忍者とおんなじイメージで捉えているからなんでしょうけれど、ちっともお忍びじゃないし。尤も、お忍びだったらこうして書きゃしないでしょうけれどね。いっぱい書いてくれた人でしたが、気が付くと、そうですね、もう二十年経っているわけで、この本とは関係のないところで妙にしんみりしてしまいました。カバーの写真。?と思ったら、なるほど、蒔なんですね。2020/04/13
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