出版社内容情報
トルコ風呂と呼ばれていた特殊浴場を描く伝説のノンフィクション。働く男女の素顔と人生、営業システム、歴史などを記した貴重な記録。解説 本橋信宏
広岡 敬一[ヒロオカ ケイイチ]
内容説明
1970年代、琵琶湖畔の田園地帯に突如出現したソープランド街。当時、トルコ風呂と呼ばれ、世間の耳目を集めた業界に果敢な取材を試みた風俗ルポの傑作。トルコ嬢や男性従業員はなぜこの仕事を選んだのか?様々な困難を生き抜き、トルコ業界にたどり着いた人々の素顔と人生をいきいきと描き出す。また、実際の舞台裏などにも迫った、貴重な歴史的記録ともいえる。
目次
琵琶湖の蜃気楼
ちろりん村・開村
ちろりん村・午前10時
ちろりん村・午後2時
ちろりん村・受難
ちろりん村・午後4時
ちろりん村・午後8時
ちろりん村・午前0時
あれから丸三年たって
著者等紹介
広岡敬一[ヒロオカケイイチ]
1921年中国長春市生まれ。42年勤務先の満州映画協会から派遣され日本に留学するが、同年陸軍航空隊に編入。在北京の特攻要員訓練隊に在籍中、写真部員を命ぜられる。そのまま終戦を迎える。47年帰国。闇屋やCIE写真部員などを経験する。東京吉原の赤線地帯で流しの写真屋を始めたのをきっかけに、風俗世界をテーマにした撮影・取材に取り組み、半世紀にわたり雑誌・夕刊紙などで執筆活動を続けた。2004年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
4fdo4
6
1970年代、雄琴のトルコ風呂(現在はソープ)黎明期のルポ。従業員だけでなく、経営者の生い立ちやヒモ、覚醒剤事情といった裏側まで。しかも統計数を添えている事例もあり単なる色物風俗ルポでは無く、今となっては歴史的記録に昇華している。なにせ「筑摩書房」だからね2025/03/02
つちのこ
3
花村萬月『惜春』を読んだつながりで、雄琴温泉のトルコ風呂について知りたくなり手に取った。1970年代の昭和風俗は今となっては遠い昔であるが、風俗ルポといえどもこの作品は、貴重な歴史の証言者になると思う。(2003.5記)2003/05/26
Shinya Fukuda
2
昭和46年の開村からトルコ風呂がソープランドへと名称を変更する辺りまでのルポだ。花影の田守世四郎、鎌倉御殿のサクラ、同じく玉緒、ニュー台北の山田忠幸、ニュー上海の春香、仏蘭西館の沙お理、鎌倉御殿等4店の社長小林健二の話が掲載されている。雄琴に第一号店をオープンさせた男、トルコ嬢と呼ばれる女性の生き方、中間管理職として現場の仕切る男、ヒモと呼ばれるトルコ嬢に寄生している男等々色んな人々が登場する。鎌倉御殿の玉緒や酒飲みの仏蘭西館の沙お理はまだよいが、ニュー上海の春香や鎌倉御殿のサクラは可哀想だと思った。2023/02/23
辻本 敏久
2
その時代の空気感は感じる。ズレがあるからピンとこないけど。2016/08/08
₭€₦ ㉿θЇ¢ħɨ฿ᾶr₳
2
田んぼの中のトルコ街、きっかけは一人の男の思いつき、っていう村の成り立ちもサイコーだけど、そこで取材した嬢たちの人生劇場と戦後風俗史にほとんどのページが割かれていてグッとくるし勉強になる。2016/06/28