出版社内容情報
生きていることを十全に楽しみつつ、政権や国際政治には鋭い批判を加え、しかし、決して悲観的にはならない。代表作としての時評。解説 鷲巣力
内容説明
二十世紀日本を代表する知識人・加藤周一が四半世紀にわたって朝日新聞に連載した時評エッセイ。世界の中での日本を考え、過去と未来を見据えながら同時代を読み解き、古典の知恵をよみがえらせ、人生を生きる悦びを讃える数々の言葉は、なおアクチュアルな輝きを失わない。本巻には1992年から二十世紀最後の年2000年まで掲載分を収録する。
目次
1 1992
2 1993
3 1994
4 1995
5 1996
6 1997
7 1998
8 1999
9 2000
著者等紹介
加藤周一[カトウシュウイチ]
1919‐2008年。東京生まれ。東京大学医学部卒。戦後、多彩な執筆活動を展開。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学をはじめ、ドイツ、イギリス、アメリカ、スイス、イタリアの大学や、上智大学、立命館大学などで教鞭をとる。2004年、平和憲法擁護の「九条の会」の呼び掛け人となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はっせー
86
読みやすかった! 加藤周一さんが新聞で書いていたものをまとめたものであった 文化 政治 芸術などかなり幅広く触れられていた!その知識量に感服した まだ2001年から2008年の方は読んでないのでこれから読んでみようと思った!自分が生まれてない時代について知ることはいまを生きることに大事だということを改めて理解することが出来た!2019/03/10
風に吹かれて
14
朝日新聞掲載。この巻は20世紀末に向かう8年間のコラムを収める。この頃は、冷戦が収束しアメリカ一極化が進む中、アメリカの一州のように日本のアメリカ追従が進み、国家機密法や憲法改正の議論が声高になり、阪神大震災、オウム教団事件などがあった。国外の滞在も多い氏の筆は、内向きになり始めている日本を、日本を愛するがゆえに、ときに辛辣に、ときに氏特有の滑稽味を漂わせながら決して悲観することなく多様な観点から論評する。氏の文章は考え方の筋道の立て方を教えてくれるとともに、古今東西の歴史に関心を持たせてくれる。2016/08/13
やま
6
昔の人は、いろんなことをよく知っていてコラムを書いているが、加藤周一もその一人。政治、国際情勢、経済から演劇、それも新劇、歌舞伎、狂言から外国の劇まで、それから音楽、本、絵(若冲の没後200年展など)あまりの幅広さに驚愕を超えて呆れてしまう。後書きにあったが、今、加藤周一が生きていたら、この状況を何と書いただろうか。2017/10/22
そうげん(sougen)
3
1995年の震災後の筆になる章も、書かれてある内容以上に、むしろ書かれることはなくとも、おそらく人が共通して抱いているであろうひそやかな思いという物まで、うっすらと感じとられました。時代や環境や社会情勢をすっとばしても、おそらくメンタリティの面で大勢の傾向に劇的な変化のない場合、過去の事例から学び取れるであろう事柄はいくらでもあると思います。落着いて列に並ぶことのできるのはなぜか。長所であると同時に短所でもある。どのような判断を経ようと、そのものがひとつの価値の表れであることを妨げはしない。2018/06/23