出版社内容情報
いま建築に何ができるか。震災復興、地方再生、エネルギー改革などの大問題を、第一人者たちが説き尽くす。新国立競技場への提言を増補した決定版!
内容説明
いま日本に必要な建築とはなにか。あるべき21世紀のモデルとはどういうものか。3・11からの復興、エネルギーの存在論、コミュニティの再生、都市と地方の新たな関係、自然と人工のつながり―。こうした現代日本の抱える大問題を、第一線で活躍する建築家と思想家が徹底的に説き尽くす。文庫化にあたり、新たに「新国立競技場」問題への緊急提言を増補した決定版!
目次
第1章 東京と現代日本の大転換―「新国立競技場」問題を問いなおす
第2章 地域と公共性の大転換―三・一一以後に建築は何ができるか
第3章 人と自然の大転換(「伊東豊雄の建築」を中沢新一と考える;自然と人間をわけない建築;縄文のこころと建築;震災が建築につきつけた問題とは)
第4章 エネルギーと建築の大転換
補論 建築のエチカ
著者等紹介
伊東豊雄[イトウトヨオ]
建築家。1941年、京城市(現ソウル市)に生まれた後、父親の郷里の長野県へ戻る。伊東豊雄建築設計事務所代表
中沢新一[ナカザワシンイチ]
思想家、人類学者。1950年、山梨県生まれ。明治大学野生の科学研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネムル
17
中沢新一が語りまくり、伊東が主に聞き手にまわる対談は曰く胡散臭いというか、色々と桁外れな印象なのだが、藤森照信と「縄文建築」を仲立ちとすると丁度いい案配。この三者の鼎談が特に面白い。最近の隈研吾の日本建築が必勝パターンにはまりすぎている印象なので、伊東の自然の呼び込み方に興味をもった次第。だがやはり建築を反転するというのは頭で理解しつつも、どうしたって桁外れだ。小説家がメタという形で試み続けていることを、より物質的で身体性のある建築で挑むというのか。とりあえず、建築を経験せねば。2017/04/23
OjohmbonX
5
ザハ案の国立競技場について、もともと明治神宮は内苑を百年かけて完成する森として設計して外苑に文化施設を配置するというプロジェクトで、当時の科学者や技士や市民が関わって作られたもので国立競技場もその一部だから、それ一つで成立するランドマークを構築するタイプの建築家の作品は文脈に合わない(ザハ・ハディドが悪いのではなく、文脈を無視した決定プロセスが悪い)という話をしていて、お金や工期がかかり過ぎるからダメって話しか聞いたことなかったから面白いなと思って。2018/07/20
江戸っ子
2
基本的には、人類哲学序説と言っていることが同じ。それを建築に当てはめるとどうなるのか、要約するとそんな感じ。 後半の第4章は、思想の話すぎて若干追いていくことができなかった。機を見て再読したい。2017/08/26
コウヘイ
1
伊東豊雄と中沢新一の共著だが、ほとんど中沢氏が話している印象。他の芸術とは違い、「施主」がいるため、「意匠」(美)と「機能」(社会性)の両立が常に求められる建築。モダニズム建築はおそらく「機能」的な建築は「美」しいのだという理論で両者の統合をうやむやにしてきた気がするが、いまやそのモダニズム建築の普遍性は否定され、個別具体的な状況(例えば東北の被災地)における「美」と「機能」の両立を目指すのが現代建築の使命となっており、その追求に心を砕いているのが伊東豊雄氏なのだと思った。2022/11/03
TOMYTOMY
1
ウチとソト。見事な建築読本。 中沢的なアニミズムも説得力を持つ。組み合わせ2020/07/23