出版社内容情報
西南戦争から太平洋戦争、湾岸戦争まで、新聞は戦争をどう伝えたか。多くの実例から報道が本来的に孕む矛盾と果たすべき役割を考察。解説 佐藤卓己
内容説明
近代日本の始まりとともにあった新聞。民主主義の基本は国民の手に情報があることだからだ。しかし明治以来たびたび起きた戦争で、新聞は真実を伝えてきただろうか。時に国の意向に従い時に国民の愛国熱に応え、戦争を煽ってきたのではないだろうか。戦争がどう報道され、その背景に何があったのか。台湾出兵から太平洋戦争、その後までを丹念に追ったドキュメント。
目次
第1部 軍国の形成(新聞は戦争で育った;伸びる軍部の爪と牙)
第2部 破局への道(袋小路に迷い込む;戦争の旗手として;真珠湾までの一〇〇日間)
第3部 平和のなかで(新たな出発を誓う;再び直面した転換期;高揚し、そして溶けてゆく国民国家)
著者等紹介
鈴木健二[スズキケンジ]
1942年生まれ。城西国際大学大学院客員教授。東京大学大学院博士課程修了、社会学博士。毎日新聞ワシントン特派員、政治部副部長、論説副委員長を経て、成蹊大学教授兼アジア太平洋研究センター所長。途中、ハーバード大学客員研究員。2013年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
足袋ねこ
5
メディア(主に新聞)に対して色々と考えさせられる本でした。新聞を通さずとも、気軽に情報入手できる昨今、部数を上げることは会社を存続させる上で重要なことかもしれないが、それに囚われ過ぎない報道をお願いしたい。この本を読む上で日本の近現代史をおさらいしておくともっと理解できたかな、 と思った。2017/05/27
yui
2
新聞と戦争の関係を、明治から振り返る。戦争に限らず各時代ごとの出来事に対する諸新聞の反応を細かく分析し、戦後今日に至るまで「新聞と戦争」史となっている。戦時中の当局の制圧に対する戦い、そして戦意高揚の先頭に立つことになる新聞。戦後はその責任問題をどのように捉えたか。現在、まさしく憲法問題や安保問題で一部で論争やデモが広がる中、本書を踏まえて新聞の記事に目を向けてみたい。2015/09/23
うたまる
1
『戦争と新聞』というより『権力と新聞』。国家権力に近づくことで記者は変容する。或る者は幇間に、或る者は従僕に、また或る者は虎の威を借る狐に。この近代日本史に刻まれた恥ずかしい記者の実像を、我々は自画像として見るべきなのだろう。ところで、陰影も濃淡もある記者たちに比べ、著者の権力者への視線が平板なのが物足りない。それはまるで漫画に出てくる絶対悪の敵役のよう。そうではあるまい。近代日本は小国だったのだ。貪婪な西洋諸国に伍して独立を維持するには、小国は堅牢な一枚岩でなくてはならなかった。例え言論統制してでも。2021/01/27
tecchan
1
明治以降、新聞は戦争をいかに報道して来たかを新聞記事から細かく検証している。著書は元毎日新聞記者。軍や政府に規制され真実を報道できなかっただけでなく、新聞自ら当局に擦り寄り戦争を煽った歴史。世論とは何か、報道の在り方とは、現在、まさに私たちに突きつけられている課題。2015/11/21
ハイザワ
0
課題のために読んだ。2016/12/16