出版社内容情報
50年代アメリカでの出来事と価値転換が現代世界を作った。政治、産業から文化、性までを光と影の両面で論じる。巻末対談は越智道雄×町山智浩。
内容説明
1950年代(フィフティーズ)のアメリカでは様々な発見と発明、政治的決断、価値の転換が行われた。現代史上最も興味深く、また重要な時代である。本書は、そのアメリカの姿を政治から産業、文化、生活のあらゆる面において光と影の両面から論じる。第一巻では、朝鮮戦争、マッカーシズム、テレビの台頭、性革命、ビート世代などが描かれる。
目次
ルーズヴェルトからトルーマンへ
原爆から水爆へ
マッカーシズム
朝鮮戦争
ダグラス・マッカーサー
水素爆弾
中国参戦
ゼネラル・モーターズの勃興
一戸建てを大量生産する
ディスカウントショップ〔ほか〕
著者等紹介
ハルバースタム,デイヴィッド[ハルバースタム,デイヴィッド] [Halberstam,David]
1934年ニューヨーク生まれ。ジャーナリスト。ハーバード大学卒業。ニューヨークタイムズの海外特派員として活躍する。64年、ベトナム戦争報道によりピュリッツアー賞を受賞。取材の対象は、政治、経済、産業、社会からスポーツ、人物など極めて広範に及ぶ。2007年没
峯村利哉[ミネムラトシヤ]
1965年生まれ。翻訳家。青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
26
50年代のアメリカを、政治、文化、事件などのさまざまな切り口で論じていく内容。全三冊だけどこれが面白くて止まらなかった。大戦後の世界はつかの間の平和のなかで人々が文化を成熟させることができた時代でもあり、因習にとらわれ続ける人々がまだ生きていた時代でもある。「一戸建てを大量生産させる」「欲望という名の電車」「アイラブルーシー」「ダグラス・マッカーサー」など、どの章を切り取っても読み応えある。エピソードも豊富で飽きなかった。2020/02/08
たらお
22
朝鮮戦争に深入りして被害を広げたマッカーサー。人気は凋落し大統領選からも外れていくといった政治の話もいいけれど、おもしろいのはファーストフードを発明したマクドナルド兄弟の話。ハンバーガーで店を繁盛させるが、拡大化には興味がなく、そこに現れるマネージャーを引き受けたレイ・クロック(52)の野心とマック愛。ジョージ・オーウェルの全体主義さながらにフランチャイズ店は決められたことしかできない。新メニューはおろか価格調整もできない。しかし、規格統一により世界拡大させたのは見事な手腕。様々な生き方を感じられた。2021/06/26
わたなべよしお
16
ハルバースタムのように書きたい、と何度も思ってきた。50年代の米国なんて特に興味もなかったけれど、何と言ってもハルバースタムは面白い。なぜ、これほどに読ませるのだろうか。読むたびに、1行1行の背景にある膨大な取材を感じ、それだけで圧倒されてしまう。ハルバースタムはやはり、稀代のジャーナリストだ。2015/09/28
MUNEKAZ
13
50年代のアメリカを描いたノンフィクション大作。政治家や実業家、運動家など個人を中心に据えたエピソードの積み重ねから、冷戦・大量消費社会の到来・性の解放・カウンターカルチャーといった大きな潮流を描く筆致は、「凄い」の一言。とりあえず1巻では、冷戦という大きな暗雲が政治を覆っているものの、国内ではかつてない繁栄に沸く、輝かしい時代の話がメイン(まさにアメリカンドリームといった感じの実業家たちの章が面白い)。政治・軍事の面のみならず、意識の面からも超大国としての内実が伴っていくのがよくわかる。2022/04/07
tsu55
10
原水爆開発、朝鮮戦争、広い芝生のある郊外住宅、マクドナルド、セックス革命……。現在、われわれがイメージする「アメリカ的な事物」はほとんど1950年代に造られたものだ。 デヴィットハルバースタムは、この50年代のアメリカを人物(偏執的な人が多い)に焦点を当てて、個人の物語として描き出している。なかなか読み応えのある本だ。2、3も読んでみようと思う。2015/11/12