出版社内容情報
「仕事」の先には必ず人が居る。自分を人を十全に活かすそれが「いい仕事」につながる。その方策を探った働き方研究第三弾。
内容説明
『自分の仕事をつくる』『自分をいかして生きる』に続くシリーズ第3弾。「いい仕事」の現場を訪ねると、そこには人と働くことや、まわりの人の力をいかしてゆくのが上手い人たちがいた。いったいなにが、それを可能にしているのか。働き方の研究と併行してワークショップやファシリテーションなど、対人関与の技法や姿勢に、その答えを求めて書かれた探求の書。
目次
西原由記子さんに自殺防止活動の話をきく―人は応答する存在として生きている
1 ファシリテーターは何をしているのか?(難波克己さんにアドベンチャー教育の話をきく―お互いの価値観や存在を、最大限に尊重する;青木将幸さんに良い会議の話をきく―その場に集まった人たち次第で決まる ほか)
2 ワークショップとは何か?(「ファクトリーではない」ということ;創造的である・生産的である ほか)
3 人の見え方(「i」メッセージ;わたしはあなたではない ほか)
補稿 西原由記子さんの言葉―いま本当に感じていることを
著者等紹介
西村佳哲[ニシムラヨシアキ]
1964年生まれ。リビングワールド代表。プランニング・ディレクター。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。つくる/教える/書く、の三種類の仕事を手がける。自称「働き方研究家」(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
40
達人たちが長年の実践から掬いあげた名人芸的「かかわり方」の極意に、著者の思索を練り合わせた本著。何度でも発見がある10年代ベスト文庫。◉さて最近気になるのは、エビデンスベースの教育論議。学びの現場ではどうなっているか。おおむね素晴らしい、とされている学びの技法のエビデンスとは(この部分、本書の内容とは無関係です)。◉根拠の有無と、結果の正負。そして、論理では無いにもかかわらずなお捨てきれない魅力的な経験知。注意深く峻別しつつそれぞれを学びたい。2018/05/20
とびほびこび
32
自分の中で理解し、咀嚼し、分かりやすく伝わらないものはしょせん能書きにしかならない。オーケストラの指揮者のような、大工の棟梁のような、野球の監督のような、大勢のモチベーションをあげ成功へと導く為には、かかわりあい方と真剣さが重要なキーとなっているのは間違いない。その場で生まれるものがワークショップであり、どう変化するかは「depends on」参加者、いや当事者次第。手法と態度は掛け算である。失敗を恐れず欠点を受け入れ自分の持ち味を活かしながらファシリテートを行う事でその経験は必ずや糧となる。2014/12/03
アナクマ
26
前書き_ 職業訓練校ではなく、美大の非常勤講師として「直面していたのは、どう教えればいいか?でなく、どうかかわればいいのか?というわからなさだった」著者。さて。◉〈成果〉を形にするための〈技術や知識〉を教えることに抵抗感は無い。しかし、それらを活用する前提となる〈考え方や価値観〉は「外から与えられるべきものではないと感じている」。さらに、価値観の基盤である〈態度・あり方〉に至っては…という悩み。この四層構造の理解と「いい授業」の関係は? 徒弟制度、ではなく、各界のファシリテーターから答えを導く試み。2025/05/10
アナクマ
26
(p.69)ファシリテーターの「あり方」について。それは、技法ではなく己れの存在そのものだという(それは学べる事なのだろうか)。また一方で、あり方を成り立たせるために、技術や武器を身につけて磨くことも必要だという師もいる(結局、個々人の体感ベースなので、定式は自ら体得/独創すべきことなのでしょう)◉…と、抽象的なインタビューや論考が続きます。数値で議論する本ではないのですが、だからといって価値は少しも減じない。◉他者とかかわりあうというのは一生ついてまわること。この本との対話はまだまだ続きそうです。2020/09/07
Yuko
15
西村さん4冊目。「ファシリテーターとは?」 ちょうど受講していた美術鑑賞実践講座でもファシリテーターとは?とを考え続けていて、本著でも様々な場のファシリテーターの言葉や実践が描かれており、オーバーラップすること多し。 それにしても、ファシリテーション、奥が深すぎる・・ 理解度もあるし、自分の性格や癖もある。そんな未熟な自分でも、自身を否定せず、卑下せず、背伸びせず、虚勢も張らず、今の自分自身であるがままに人に関わっていくこと。というか、それしか出来ない。いきなりファシリの達人にはなれないのだ・・ 2019/08/09