内容説明
あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれ兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。
著者等紹介
今村夏子[イマムラナツコ]
1980(昭和55)年生まれ。「あたらしい娘」(「こちらあみ子」に改題)で第26回太宰治賞を受賞。単行本『こちらあみ子』で第24回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
479
ウワーッと叫んで、頭を抱えるくらい感想に困る作品でした。特にインパクトがあるわけではないのに、グイグイと引きこまれ、気づいたら自分が各登場人物に当てはめて、この立場なら、どうするんだろうと考えさせられました。あみ子を含め、『ピクニック』の七瀬さん、『チズさん』のチズさんしかり、その場にいたら、きっと鬱陶しく感じるだろうけど、この各主人公の純真無垢な優しさ無邪気さが、鬱陶しく感じながらも、自分の心を救ってくれてる気がしました。だから読後も気になるんですね。いつかまた再読したいです。2018/01/29
夢追人009
420
芥川賞作家・今村夏子さんの原点となるデビュー作品集。私は本書を読んで完全に著者の本質を理解できた気がします。「こちらあみ子」の風変わりな少女あみ子の同級生のり君への恋心「ピクニック」の七瀬嬢が恋人げんき君に尽くす献身「チズさん」のお婆さんに対する私の執着はそのまま「むらさきのスカートの女」の権藤チーフの日野まゆ子への親切心と本質的に同一なのではありませんか!純粋無垢のピュアで一途な心を私は笑ったり不気味に思えたりはできません。私は著者が異常性の裏側にある拒絶された者の悲哀を書きたかったのだと思うのですね。2019/09/23
さてさて
393
この作品を読み始めた読者は何か不自然な感覚、感情がずっと付き纏うことに気づきます。こちら側からは違和感の象徴でしかないあみ子、しかし、そのあみ子の側の世界を見てしまった読者は、それを違和感と単純に切り捨てることが出来なくなっています。いつまでも読者の中に引っ掛かりとして残り続ける、それがこの物語なのだと思います。〈こちらあみ子〉、圧倒的なインパクトを持つこの作品。あみ子のことをいつまでも考えてしまう自分がいる、何か引っ掛かりをいつまでも感じてしまう自分がここにいる、とても不思議な印象の残る作品でした。 2020/10/10
mae.dat
283
表題作から始まる短篇3話。あみ子、七瀬さん、チズさんに、狂気の力を与えて引き込む力を持たせる事に成功しています。ただあみ子の場合は、実際にありそうにも思えて、儂には持て余してしまいましたよ。あみ子の悪気は無い、寧ろ良かれと思ってする行為、行動が、周囲の人は煩わしさやら不快感を与えてしまうのよ。それはあみ子に歩み寄る程に、反動は大きくなってしまうよ。そしてあみ子はその要因を全く理解できて居ないと。でも現在では、小学生のお友達さきちゃんにすみれの花を用意できる様になっているのは、成長の証なのかなぁ。2023/08/17
エドワード
245
小学三年生のあみ子は、客観的には可哀そうな少女だ。前歯が3本無く、勉強は苦手、学校では仲間はずれ、書道の先生の母親に書道を教えてもらえない。でも本人はあっけらかんとしている。兄は世話を焼いてくれるし、のり君という憧れの君がいる。今の日本なんだけど、のどかで、とぼけていて、ユートピアなんじゃない?不思議なお話だ。穂村弘さんが「ありえない」の塊と呼ぶあみ子が大人になったら、七瀬になるんじゃない?それが「ピクニック」。七瀬も相当変わっている。怒らない。めげない。人は気持ち次第で幸せに生きられる、という寓話だね。2019/03/12
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