出版社内容情報
刻みパセリをたっぷり入れたオムレツの味わいの豊かさ、ペンチで砕いた胡椒の華麗な破壊力……身近なものたちの隠された味を発見!
内容説明
いつもつけあわせの位置に甘んじているパセリ。それが刻みパセリたっぷりのオムレツやピラフ、パセリだけの天ぷらを食べた瞬間に、その味わいの豊かさに驚く。ペンチで砕いた胡椒の華麗な破壊力、噛むほどにぐんぐん底力を発揮するドライフルーツのおいしさ…。身近なものたちの隠された味は一度知ったらやめられない。『買えない味』に続くエッセイ集第二弾。
目次
はっとする味(パセリ―「つけ合わせ」以上の美学;魚の骨―ゼラチン質をまとう ほか)
鰻にでもする?(鰻―鰻にでもする?;酒―極彩色の夢を見る ほか)
なくてはだめなのだ、もう(精米―米にも鮮度はある;たわし―調理道具にもなる ほか)
日常のすきま(小鉢―手間を少しだけ盛りこむ;ガラス―使い終わりに山場あり ほか)
著者等紹介
平松洋子[ヒラマツヨウコ]
エッセイスト。東京女子大学卒業後、食や生活文化を中心に幅広く執筆活動を行う。『買えない味』で第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。『野蛮な読書』で第28回講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
40
軽快で巧み、うまい比喩表現にいつもの安定した力量を感じるが、自慢げに取れる海外話にしかり、ちょっと盛りすぎ、作りすぎの感は否めない。「冷え冷えのビールをシュッポッと抜いて、きゅっと一杯、うちわをパタパタ」とか、公園のベンチで一人カップ酒をやるくだりを読んでしまうと、昭和のオヤジかよと、どうしても偏見レベルの固定観念が働く。(酒=男じゃなくて、女でも何ら問題ないのに)。短いエッセイのなかでそこまで飾って盛り上げる必要があるのか、不自然な言葉の無理強いを感じてしまうのだ。飾りのない自然体の文章が恋しくなった。2025/01/18
ユメ
40
生活がどことなく弛んでいるなあ、というときに平松さんのエッセイを読むと、てきめんに気持ちがしゃっきりする。といっても肩肘張らず、心身共にくつろいだ状態で日々の暮らしともういちど向き合う。日常は些細なよろこびの積み重ねだと思い出させてくれるのがこの本だ。毎日のひと手間ひと手間を楽しむ心持ちの指南書。平松さんが見つけた「はっとする味」に、新鮮な感動を何度も噛みしめた。同じような日々の繰り返しでも、自分の意識ひとつではっと驚く出会いが待っている。馴染みと変化をほどよい塩梅でとり混ぜて、ご機嫌に暮らしていきたい。2019/02/01
ちょろんこ*勉強のため休止中
38
鋭いのに柔らかく、どこか男前な文章。平松さんの日常生活や料理に対するきちっとしたこだわりに魅了されてます。写真も美しくじっくり楽しめた一冊。憧れの女性の一人です(*´∀`*)2013/12/13
阿部義彦
20
おすそ分け、ご相伴、良い言葉ですね。包丁、おろし金、タジンなど調理道具にまで踏み込んで相変わらず融通無碍の味と匂いと記憶のタッグマッチ!2017/10/07
橘
16
「買えない味」シリーズのエッセイ2冊目も面白かったです。今回は食べものについても多く書かれていて、食べたくなります。パセリ尽くしもやってみたいし、お酒は弱いですがカップ酒は蓋付きでちびちびゆっくり呑めるのがいいよね…ってなりました。「日常の贅沢について」の、「ちいさなことにくよくよしても、いいのかなあこんな贅沢しちゃって、と折々につぶやいていればなんとかなる、どうにか生きていけると思うのだ、本気で。」という心持ちはわたしも持っていたいと思いました。2019/04/13