出版社内容情報
自由と平等を旗印に、いつのまにか全体主義や恐怖政治が社会を覆っていく様を痛烈に描き出す。『一九八四年』と並ぶG・オーウェルの代表作。
内容説明
飲んだくれの農場主を追い出して理想の共和国を築いた動物たちだが、豚の独裁者に篭絡され、やがては恐怖政治に取り込まれていく。自らもスペイン内戦に参加し、ファシズムと共産主義にヨーロッパが席巻されるさまを身近に見聞した経験をもとに、全体主義を生み出す人間の病理を鋭く描き出した寓話小説の傑作。巻末に開高健の論考「談話・一九八四年・オーウェル」「オセアニア周遊紀行」「権力と作家」を併録する。
著者等紹介
オーウェル,ジョージ[オーウェル,ジョージ] [Orwell,George]
1903‐50。インド・ベンガル生まれ。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。50年、ロンドンにて死去
開高健[カイコウタケシ]
1930‐89。大阪生まれ。大阪市立大学卒業後、洋酒会社宣伝部で働く傍ら創作を始める。『パニック』で注目を浴び、『裸の王様』で芥川賞受賞。ベトナムの戦場や中欧東欧を精力的にルポ。行動する作家としても知られた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nakanaka
89
メージャー爺さんが「動物主義」を唱えたことをきっかけに牧場主を追い出すクーデターが起こるわけですが、一つの目標に向かって突き進む力は強大ですがそれが成就したあとの始末がいかに難しいことであるかを実感した作品でした。徐々に自分たちのいいように仕組みを変えていくナポレオンのやり方は人間社会の政を皮肉っているようでした。支配下にいる動物たちは愚かなわけではなくただただ無知なだけ、私たちも勉強しなくては。独裁主義や全体主義の問題点を突いた作品なわけですが現代にも当てはまる対象が多く存在していて面白いです。 2016/10/01
れみ
78
横暴な農場主を追い出した共和国を作った動物たち、しかしやがて豚の独裁政治が始まる…というお話。なんだか、どこかの国で人間同士で実際にありそうなお話。最初に掲げた理想が豚たちによってどんどん歪められて記憶さえも定かでなくなっていくところは、みんな大事なことを忘れすぎ!と思うけど、今の日本でだって、よく知っておくべきことを知らなかったり忘れてしまっていることがありはしないか?と考えると、とても身近に感じられ恐ろしい。2015/08/06
honyomuhito
58
最近ダーウィン事変という漫画を読んで幼い頃に読まなくて良かったと思った。なにせ 「風の谷のナウシカ」を見て人間など滅べばいいのにと思うタイプの子どもだった。そんなタイミングでの動物農場である。懸命に生きるほど当初の理想から離れていく生き物たちにそもそも理想を目指すことに気がついてしまったことが不幸なのではないかとすら思ってしまう。あるんだかないんだかわからないユートピアを目指すのでなく、あるものに感謝して、ありがたく頂く幸せというのもあると思うんだよと自己弁護をして、今日も私は生き物を食べて生きていく。2023/02/21
あつひめ
58
点訳一校終了。なかなか入り込めない展開。なのに、どこかで見ている世界のようで変にドキドキした。支配する者される者…人が動物になっても同じことだった。それを現実の世界、日本の政治家に当てはめてみたら…この日本はどうなってしまうのだろうと考えずにはいられなかった。後半の開高健さんの文章。初めて読みました。繰り返し言葉を使うことが好きなのかなぁ〜なんて思いました。まだ一冊しか読んでないからよくわからないけど…。こういう種類の本はなかなか自分では手に取らないので、とても良いチャンスをもらった気がします。2016/03/18
ノコギリマン
44
人間を追い出して動物たちで作り上げた理想郷、“動物農場”が豚の独裁体制によって次第に堕落して、地獄へとかしてゆく寓話。諷刺小説として一級品ということだけあってシンプルで分かりやすく、且つユーモアに溢れていて非常におもしろかったです。『一九八四年』よりもみじかくてわかりやすいので、オススメです。豚の独裁者のナポレオン、悪い奴だぜー。2015/09/12