出版社内容情報
神々と妖精が生きていた時代の物語。かつてエリンと言われた古アイルランドを舞台に、ケルト神話に名高いふたりの英雄譚を1冊に。
内容説明
太陽神ルグとアルスターの王女テビテラのあいだに生まれた英雄クーフリンの哀しい戦いの物語と、フィアンナ騎士団の英雄で、未来を見通し病人を癒やす不思議な力を持つフィン・マックールの物語。エリンと呼ばれた古アイルランドで活躍した美しく逞しい騎士たちを、神々や妖精が息づく世界のなかで鮮やかに描く。サトクリフ神話英雄譚の傑作2作を1冊にまとめる。
著者等紹介
サトクリフ,ローズマリー[サトクリフ,ローズマリー][Sutcliff,Rosemary]
1920‐1992。イギリスの作家。1950年に『ロビンフッド年代記』でデビュー。ケルト神話やギリシア神話、古イングランドの歴史を題材にした物語が多い
灰島かり[ハイジマカリ]
翻訳家。白百合女子大学講師
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年生まれ。翻訳家。法政大学教授。ヤング・アダルト小説の翻訳ほか訳書多数
久慈美貴[クジミキ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイゼナハ@灯れ松明の火
32
ケルトの神話では著名な英雄二人の物語。断片的なエピソードは知っておりましたが,こうしてまとめて物語として読めるのは嬉しい限り。英雄譚ではあるのですが,いずれも勇壮ながらも悲劇的な最期を遂げるところに,物語を伝えた人々の,失われた美しい時代に対する哀惜の念が感じとれるような気がします。それにしても両編とも,後日譚というべき最後のエピソードが素晴らしい。特にクーフリンの話の方は,その語り口とも相まって余計に切なくなりました。この辺は作者の力量なんだろうなぁ。堪能しました。2013/02/12
鐵太郎
13
ケルト神話ファンタジーの第二弾。「炎の戦士クーフリン」と「黄金の戦士フィン・マックール」の合本。どちらもケルトの伝説の英雄なのだそうだけど、きちんと書き分けられているのは、さすがサトクリフというべきか。前回の二人の少年たちよりリアリティに欠けているのは神話の英雄だからなのだろうけど、その荒唐無稽さが面白い。でも、どうもね。2017/02/17
おくりゆう
5
ケルト史を彩る2つのファンタジーですが、解説の、クーフリンは神話、フィンは民話という評はしっくりくるものがあります。美しく、凄絶な物語は読みやすく、とても面白かったです。個人的にはクーフリンの方が好き(フィンは人間的というか晩年が…)。2013/07/27
eckhart88
4
名前と簡単な逸話は知っているが、しかし詳しいところを知らないクーフリンの伝説と、名前くらいしか知らないフィンの伝説。前者のまさに神話というような想像力の奔放さ、アトゴウラでの一騎打ちの凄絶さ、その死の凄まじさ。サトクリフの語り口が、古老の伝える迫真の伝承といった様子でぐいぐいと読ませる。それほどに見事。フィンの人間くささと、騎士団の魅力よりも、壮大かつ自由なクーフリンが個人的は好きだった・人によっては逆かもしれないが。彼らの存在を聞いた事はあるが詳しくは知らないという人は、この本はまさにをうってつけだろう2013/06/14
shou
4
ケルトの英雄神話をサトクリフがまとめたもの。時代の古いクーフリンの方が幻想的で物語的。フィンの方はアーサー王など他の英雄伝説を彷彿とさせる面も。老いた英雄が英雄のままでは終われない展開が象徴的だなあ。グラーニアの悪女っぷりも凄いけれども、男性陣はそれでいいのかと…。2013/06/10