出版社内容情報
悪口は、生そのものに活力を与える。悪態・雑言が光彩を放っていた時代の小説、落語、狂言などから採録した豊かな言葉、乞味読。
内容説明
意地っ張り、赤い豚、この唐変木、木偶の坊、侵略守備のひょうろくだま、この阿呆め等々、光彩陸離たる悪口雑言のダイナミズムが言語生活そして、生そのものに活力を与えてきた。地域語の中には無限といっていいほどの悪態語が息づいている。本書は、小説、江戸落語、上方落語、狂言を基にした悪態語の採譜である。私たちの悪口表現はその種類、強烈さで負けている?―。
目次
小説篇
江戸落語篇
上方落語篇
狂言篇
著者等紹介
川崎洋[カワサキヒロシ]
1930‐2004。詩人。東京都出身。横須賀の米軍キャンプなどに勤務。53年茨木のり子らと詩誌「櫂」を創刊。方言、子ども言葉、日常の何気ない表現に、豊かな可能性を探り、数々の作品を生み出す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねこ
3
小説、落語、狂言から、これはと思う悪態を詩人・川崎洋さんが抜き書きしたもの。みなさん、いろいろ書いています。でも、ぱらぱらとめくっておしまい。通読不可。そして、小池昌代さんの解説へ。面白かった! 傑作です、この解説。悪態をつくにも技術が必要で、語彙が貧困だと場が陰湿になるそうな。うん、うん、わかります。それで彼女が紹介した悪態が、ふたりの詩人のやりとり。ふだんは格調高い詩を書くおふたりなのだそうだけど、ひとりが、もうひとりに向かって叫んだ。「おまえのちんちん、ぼろぼろやないか!」わははっ。いい、いい♪2015/09/19
はち
2
悪口というより悪態。だから読んでて不快感は少ないし、かえって日本語の芳醇さを感じる。小説編はやたら吉里吉里人ばかりだったけども。お風呂読書には最適。今日腹立てたことに対してぴったりな言葉があります。2012/11/14
narihira
1
耳の穴から手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタいわしたろか?2014/07/14
おおやなぎまさひこ
0
エッセイかと思ったら、タイトル通りの「悪態」「採録」「控」。放送禁止用語もたくさん。これだけ書けばさぞ気持ち良いでしょーね、という数。小説編の「吉里吉里人」のアレはなんとなく、コンビニで売ってるマンガの総集編の小説版を読んでいるような気持ちに。夏目漱石、A型気質なのに(偏見)、意外と口悪いのと、樋口一葉がツンデレラーなのが意外な発見でした。2013/07/11
コノヒト
0
「小説篇」の井伏鱒二の項までは良かった。勢いよく啖呵を切る短いフレーズの羅列。スピード上げて駆け出してゆく高揚感。体ごと持って行かれそうなスリリングな読み心地。最後まで一冊丸ごとその感じで行ってくれるものだと思った。『吉里吉里人』に食傷したのだ。2023/09/24