出版社内容情報
1588年エリザベス1世暗殺。法王が権力を握り、蒸気機関が発達した「もう一つの世界」で20世紀、反乱の火の手が上がる。名作、復刊。
内容説明
1588年、英国女王エリザベス1世暗殺。混乱に乗じたスペイン無敵艦隊が英国本土に侵攻。英国は欧州世界と共にローマ法王の支配下に入る。プロテスタントによる宗教改革は鎮圧され―。20世紀、法王庁の下で科学は弾圧され、蒸気機関車だけが発達。その閉ざされた「もう一つの欧州」でついに反乱の火の手が上がる。高い完成度と圧到的なリアリティを備えた不朽の名作。
著者等紹介
ロバーツ,キース[ロバーツ,キース][Roberts,Keith]
1935‐2000。イギリスの小説家。87年に長編小説『Gr´ainne』で英国SF協会賞長編部門を受賞
越智道雄[オチミチオ]
1936年生まれ。愛媛県出身。明治大学名誉教授。アメリカ政治・経済・文化解剖学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
30
書庫整理、こういう本が出てくるので嬉しくなっちゃいます。書影はちくま文庫なんですが発掘本は扶桑社から出ている単行本。サンリオSF文庫が無くなって復活させたやつです。表紙のイラストは一緒です(これはサンリオ文庫の王女の顔?よりも良いと思うんですが)。20年ぶりの再読ですが圧倒的な世界観と歴史改変SFの王道ともいえる内容は今読んでも少しも古さは感じません。細部の緻密な描写、エピソードの豊富さ、そして人物の造詣。どれを取っても傑作の名に恥じない内容です。スチームパンクとしても出色の一冊。2022/08/22
em
27
エリザベス一世が暗殺されてフェリペ二世がイギリスを侵略、カトリックが支配する世界。プロテスタントの産み出したものとは何だったのかを、逆説的に考えさせる設定。一応歴史改変SF?なのだけれど、英国式ファンタジーとケルトの空気感が濃厚で、とても好み。こういうSF+αのハイブリッドな世界観を作るのは、もう小説より日本の漫画の方が上手いんじゃないかと思うこともありますが(漫画のレベルが高いという意味で)、小説にしかできないこともある。これはあたりでした。2018/07/20
志ん魚
22
「歴史改変SF」と銘打たれているようだが、ワクワクドキドキ系では全然なく、情感たっぷりで謎めいたファンタジー世界にゆったりと浸るような感じ。自分が読んだ中ではジョン・クロウリーやジーン・ウルフの世界に近かった。「いにしえの民=妖精」といったモチーフとか、やっぱり英国人って妖精好きね〜などと思ってたのだが、クロウリーやウルフはアメリカ人だったのね。2013/06/25
erierif
17
SFが読みたくて手にとったら歴史改変物?ちょっとファンタジー?と思っていたらちゃんとSFでした。一つ一つの短篇もイギリスらしくすごくクラシック。最近のハードSFと違い雰囲気があり読まされた。勤勉で誠実な男性達、気持ちいいほど気が強い女性達。後半に行くにしたがって全体がつかめた時大きな話の流れがみえて感動した。2018/05/05
三柴ゆよし
17
ひとつの巨大な歴史の流れを追うよりも、そうした大文字の歴史の周辺にある小文字の歴史を細かに描写することで、立体的な世界像を創りあげていく感じの物語。そのため文章が説明的で、正直まどろっこしい部分も多々あり、おれ、お前の人生にそんなに興味ないよ、となったりもしたが、意外にもするするとコーダへと導かれていった。とはいえこの綺麗な幕切れは、裏を返せばここまで全部予定調和だったんですよ、と言われているような気もして、そこには不満を覚える。歴史改変物と聞いて、もう少し叛骨的な物語を期待していた私の先入見のせいかも。2013/01/13
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