出版社内容情報
両国、谷中、千住……アスファルトの下、累々と埋もれる無数の骨灰をめぐり、忘れられた江戸・東京の記憶を掘り起こす鎮魂行。
内容説明
アスファルトの下に累々と埋もれる、江戸・東京の骨灰。明暦の大火このかた、震災と大空襲の犠牲者までをまとめてご供養の両国から、小伝馬町の牢屋敷跡、小塚原の仕置場跡、地下鉄サリン事件の築地、お骨の大量入居地、谷中墓地に多磨霊園…。無数の骨灰たちの彼方に、この国の首都の来し方、忘れ去ってきたものが見えてくる。東京の記憶を掘り起こす鎮魂行。
目次
ぶらり両国
新聞旧聞日本橋
千住、幻のちまた
つくづく築地
ぼちぼち谷中
たまには多磨へ
しみじみ新宿
両国ご供養
著者等紹介
小沢信男[オザワノブオ]
1927年東京新橋生まれ。日本大学芸術学部在学中、「江古田文学」掲載の「新東京感傷散歩」を花田清輝に認められ、53年「新日本文学会」に入会。『日本の百年』シリーズ第二、三巻を松本三之介に協力執筆、また花田清輝、長谷川四郎、佐々木基一と戯曲を共作するなど、共同制作に積極的に参加。小説、詩、俳句、評論、ルポルタージュなど多ジャンルにわたり執筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takeshi Kambara
20
著書が東京を散歩しながら街のルーツ、とりわけ死に関する謎を紐解いていく本。ぶらり途中下車の旅~冥界編~といった感じです(笑)江戸の大火、震災、戦争など我々が住んでいる場所の地下には過去に多くの死が溢れている。普通に生活していたら恐らく目にする事の無い史料や特定の墓誌などを根拠に語られる死の話は興味深くまた、新たな視界が開けた気がした。是非他の地方のバージョンも読んでみたいと感じた。2016/08/19
blue_elephant
9
初めて読む小沢信男氏の紀行本。会話体というのか、おしゃべり口調の文章なので多少読みづらくはありましたが、江戸・東京の別の見方で歴史を知ることができ、興味深く読むことが出来ました。東京都庁を香華台に例えて紀行を終える。要所要所の写真があれば良いのになあ。2023/03/10
Yetina
4
友達の勧めで読み始めたが、最初は何のテーマかピンとこなかった。江戸・東京の骨灰を辿って歩く紀行文、多くの人が亡くなった場所、事件を詳しく掘り起こしている。全く知らなかった江戸・東京を知った。 同じ江戸を歩く旅でも杉浦日向子の描く江戸とは違って、骨灰と言う重いテーマだが、事実に向き合い、この本を持って改めて東京を歩いてみたくなる本だ。2021/02/03
エリ本
4
とても面白く興味深い本だった。江戸時代の頃の人が生きて存在していたことが「骨」によって実感させられた。日本中あっちにもこっちにもまだまだ骨が埋まっているのだろう。地図をつき合わせての読書は面倒くさいが、より理解は深まると思う。特に江戸切絵図は見ていて飽きない。2020/05/13
アメヲトコ
4
巨大都市東京は無数の死者たちの上に立っている。明暦の大火関連の場から刑場跡、墓地、震災・戦災の被災地まで、「死」を見据えながらの街歩き本です。テーマはいいのですが、この本を楽しめるかどうかは、著者の非常に癖のある文体に馴染めるかにかかっています。私は最後まで肌が合いませんでした。ファンの方ごめんなさい。やはり本は買う前に最初の数ページ読むべきですね。2017/11/24