出版社内容情報
「アーキテクトとは、コンペを競うK-1ファイターのような存在である」(伊東豊雄)。ジャーナリスト瀧口範子によるトップランナーの解体新書。
内容説明
「走りつづけていれば、必ず何が問題か見えてくる」。ジャーナリスト・瀧口範子による、トップランナーの解体新書。世界を飛び回る建築家・伊東豊雄に密着し、その創造力の源を探りだす。妥協を許さない建築家からこぼれる言葉の数々は、職業のジャンルを越えて、現代に生きるすべての人々の胸に深く響いてくる。文庫化にあたり、新たに2012年までの活動を増補。
目次
陸前高田
東京1/コンペを闘う
東京2/文房具
東京3/アルミ
施主
東京4/ガーデン
東京5/議論
事務所はじめ
東京6/火葬場
松本へ〔ほか〕
著者等紹介
瀧口範子[タキグチノリコ]
ジャーナリスト、編集者。テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化一般に関する原稿執筆を行ない、またテレビ番組制作、展覧会、会議などのコーディネーションに携わる。上智大学外国語学部卒業。1996‐98年フルブライト奨学生として(ジャーナリスト・プログラム)、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科にて客員研究員。現在、シリコンバレーと日本を往復して活動する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リョー ボッチ
1
伊東先生本人による本はいくつか読みましたが、これが一番凄みがあった。本人の筆によるとあたかもさらりと自然に、そうするのが当然にように書かれている建築への思いやデザインに向かう態度が、こうして密着取材した他人の目を通してみると、すごいことなんだなとよくわかります。すごいなんて言葉じゃ言えない、研ぎ澄まされた刀のような緊張感と美意識、そして膨大なエネルギーの溜めと放出。それを短期間で何回も繰り返している、稀有な人間であることがわかりました。そして体で建築を考える傾向も、昔からのことだったのだともわかりました。2020/10/15
2n2n
1
日本を代表する建築家の一人、伊東豊雄の活動の密着ルポルタージュ。特に、東日本大震災以降の、伊東の建築家としての苦悩が心に刺さる。「こういう建築がつくりたいとか、こういう構造の実験がしたいとか、そんなことばはもう使えなくなった。『人々が集まる場所をつくる』ということすら、軽はずみには言えなくなった。そんなことを超える大変な現実が起こっている(p329)」2012/12/08