出版社内容情報
演出家蜷川幸雄が代表作とその創作過程、それぞれの作品に込めた思いや葛藤を、細部にわたるまであますことなく語る。たぐいまれなる才能の源に迫る。
内容説明
次々と新たな作品を生み出す強烈なパワーはどこから来るのか。演出家蜷川幸雄が自身の代表作とその創作過程、それぞれの作品に込めた思いや葛藤を、数々の興味深いエピソードを交え、等身大の自分自身をさらけだしながらあますところなく語る。新宿のアングラ時代から商業演劇への転身、そして海外公演への挑戦と成功―。不世出の演出家をここまでかりたてたものは何か。その情熱の源に迫る。
目次
ギリシア悲劇
清水邦夫
唐十郎
秋元松代
樋口一葉
三島由紀夫
野田秀樹
演劇の周辺
チェーホフ
シェイクスピア
著者等紹介
蜷川幸雄[ニナガワユキオ]
1935年、埼玉県川口市生まれ。1969年、『真情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。1974年、『ロミオとジュリエット』で大劇場へ進出。以後日本を代表する演出家として世界各国で次々と作品を発表し続けている
長谷部浩[ハセベヒロシ]
1956年埼玉県与野市生まれ。慶應義塾大学卒。演劇評論家。現在、東京藝術大学美術学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼのまり
5
評論家長谷部とのインタビューという形で蜷川の演出家としての想いが語られる。そこに感じるのは『生』や『動』のエネルギー。彼の言葉から感じるのは、舞台演出は人生そのもの似ていて、常に真剣勝負である、ということ。人生というプログラムは自作自演であり、最高の舞台を演出するのも自分次第な訳だから、常に真剣勝負を挑みたいものです。2013/09/12
Takuo Iwamaru
3
孤島を舞台としたシェイクスピア作の『テンペスト』という戯曲がある。これを演出することになった蜷川だが、脚本を読んでも核心がつかめない。だがやがて「これは流人と島流しの話なんだ。とすれば、日本人に一番わかりやすいのは佐渡だ」「佐渡には世阿弥も流された」「佐渡には能舞台がある」この蜷川の発想が、シェイクスピアと能舞台を融合させた。これは頭からポッと出たアイデアではおそらく無い。素材を解釈する際、頭だけでなく身体(自分の経験や知識)を通過させている。突飛とも思える発想に説得力を与えるには、頭だけではだめなのだ。2016/06/04
misman
1
シェイクスピアなどを扱いつつも、日本に寄り添った演出をしていたのだということを再確認。やれ商業だと言う人もいるが、それでしかやれないこともあるのだと感じた。どのように戯曲に取り組んでいたのか、というのが垣間見れて面白かった!2017/06/13
Luo Yang
0
蜷川演出の個々の舞台についてのインタビューを軸に、蜷川幸雄というひとがなぜ、また何を大事にしながら演出をしているのかが赤裸々に明かされていく内容で、一気に読んでしまいました。注が丁寧かつ的確でたいへん読みやすいのもよかったです。あと、めちゃ芝居が観たくなります。2015/01/03
おおやなぎまさひこ
0
蜷川演出はなんとなく敬遠して観たことない私ですが読んでみた。長谷部さんが蜷川さんを深く理解してるのがわかるし、蜷川さんの言葉自体も明快なのでボリュームあるけど読みやすい本でした。それにしても蜷川さん、思ってたよりすっごい沢山演出してたし、役者から演出家へ移行したんじゃなくって最初から演出(で、役者も時々やる)だったんだ。それにしてもこの本の中に登場する天才たちの凄いこと。蜷川さんと彼らに会いに劇場に行きたくなる本。2012/10/17