出版社内容情報
どこで歯車が狂ったのか。何が運命の分かれ道だったのか。歴史の波に翻弄され、虫けらのごとく捨てられていった九人の男たちの物語。
内容説明
どこで歯車が狂ったのか、何が運命の分かれ目だったのか。歴史の流れに翻弄されて、無益な死を迎えるほかなかった田舎将軍、傭兵隊長、官僚、錬金術師…。権力者の駆け引きに利用され、また民衆の嘲笑の対象となったあげく、虫けらのように踏みにじられた彼らの、どこか滑稽でありながらも人間らしい生きざまを、哀惜を込めて描く。
目次
第1章 黒幕に操られ見捨てられたお人好しな太鼓叩きの物語
第2章 一本気と無邪気さで首を落した叩き上げ傭兵隊長の物語
第3章 暴君と民衆の生贄にされた哀しい官僚の物語
第4章 愛と忠誠を捧げ尽くした「死ぬ者貧乏」将軍の物語
第5章 理想を妄信して現実に殺された純真な老将の物語
第6章 半端な才能のおかげで終生籠の鳥となった錬金術師の物語
第7章 愛郷と忠誠を負わされ潰れた善良な田舎将軍の物語
第8章 悪口と酷評に縊死させられた生真面目な芸術家の物語
著者等紹介
菊池良生[キクチヨシオ]
1948年生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得、現在、明治大学教授。専攻ドイツ・オーストリア文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遊未
8
過去もも現代も洋の東西を問わず世の中はわかっちゃいるけどあらためて鬱々とした気持ちになるお話が9人分。いつの世も生真面目、不器用な人は…というお話。それでも、遠い異国でその人生を生き方を一人でも多くの人が知ることは供養になる、とか思いたいです。 特にウィーン帝立・王立宮廷歌劇場の設計者二人の悲劇は現在のネット上の問題と同じでしょう。フランツ・ヨーゼフ帝には身内の死以外にこの様な死も起こっていたのですね。2018/08/01
きりまん次ゃ郎
1
歴史の奔流にもてあそばれながら生きて、そして死んでいった男たちの物語。意表をつく構成で、冒頭から平安時代や江戸時代の日本の話が語られるが、それが流れるようにドイツ史へと繋がっていく。悲哀溢れる死を迎えていった男たちの姿が、裏窓からのぞくような歴史の一面を教えてくれる。2013/10/18
こはね
1
哀しい。真面目で誠実な彼らが権力に翻弄されて消えていく。国としてはドイツだけじゃない気がするので限定しているのには疑問。2011/10/03
鈴音
0
気鬱になるほどではないんだけど気が滅入るお話が続くので読むのに時間がかかった。「哀しい官僚」の話で特に思ったのだが、民衆の気分屋に過ぎるところ眼前に出されたエサに弱いところが嫌になる。いつの時代でもその傾向はあるのだけど、法治や権力の分散がうまく機能できなくなってしまった社会ではさらに酷いことになるのだと感じた。2014/06/08
ハヤブサの竜
0
さくさくよめて良かった2012/12/31