出版社内容情報
二十一世紀の大学像を語ったインタビュー集。教育論としてだけでなく日本文化論としても興味深く読める「森流」学問のすすめ。
内容説明
二十世紀末、国立大学の独立行政法人化を前に「大学の未来像」について行った計十七時間のインタビュー。そこで語られた言葉は、二十一世紀に入り十年以上が経過した今も日本の大学教育や教員、学生への新鮮な指摘を含んでいる。教育に関心のあるすべての世代に贈る“森名言集”。―「カシコに教わるくらいアホでもできるがな。アホから教われるのが本物のカシコ」。
目次
1 いいやないの、民営化―安定は停滞を生む
2 課題自体がわからんのが課題探究や―制度依存との矛盾
3 国立やからと思ってたら堕落する―これからの大学
4 ソフトな学力が落ちている―当世学生事情
5 おしゃべりが文化を育てる―大学と学生街
6 日本のあり方とかかわって―大学論の変遷
教養主義が産んだ知性の輝き―森さんとのインタビューを偲んで(豊田充)
著者等紹介
森毅[モリツヨシ]
1928年東京生まれ。東京大学数学科卒業。京都大学教養部教授を長く務める。2010年7月逝去
豊田充[トヨダミツル]
1938年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。元朝日新聞記者、元日本大学教育学科非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Z
6
過去の大学の雰囲気が伝わり、面白い。年俸制導入や任期制、アメリカの大学のように、研究内容、教え方のうまさ、本を書くなどして知名度を高くするなど、評価の多元性を持ち込むなど、面白い提案たくさん。つまらん大学教授は蹴っ飛ばせ2016/08/31
hwconsa1219
4
本書が発刊されたのは国立大学が法人化される少し前。数学者である森先生(京大名誉教授)が当時思い描いた(または危惧した)大学の姿になっているかどうかを確認してみたくて読んでみました。 戦後の学制改革を経て、全共闘などによる産学協同への反対運動、大学の実学化(資格に直結する学部の創設など)への流れに関する考え方、大学院を考えたうえで学部教育を考えるべき、など、非常に興味深い内容でした。 なおタイトルこそセンセーショナルですが、これからもやはり、「東大が倒産する日」は来ないというのは確実でしょうね。2017/07/25
jiwasawa
0
森毅って数学史の人、くらいの認識で読んだ本。昔の大学の雰囲気が伝わってきて面白かった。所々に森さんの学問観が散りばめられているのも良かった。 インタビューが元だから関西弁(笑)2013/01/31
ry
0
もっかい5年後に読み直したい。2011/12/30
sasuke
0
独法化の前に書かれた本。東大文学部に比べて、京大文学部の方が閉鎖的とか、「大学院生とか助手とか、そういう若いときのこと考えても、間接的には教授の影響受けると思うけどね、直接的に教授になんか教わるものはないんですよ。教授からなんか学んだっていう記憶はあまりないね。」御意。2011/12/31