出版社内容情報
内容は後日登録
内容説明
イラク戦争の際に登場した「民間軍事会社」は、究極の国家行為である戦争のイメージを大きく変えた。彼らの事業は、要人警護はもちろんのこと、戦闘地域でのロジスティクスから捕虜の尋問、メディア対策、さらには正規軍のカバーに至るまで多岐にわたる。その実態はどうなっているのだろうか。今なお拡大しつづける新ビジネスの全貌を、各企業や米軍関係者への取材をもとに描く。
目次
第1章 襲撃された日本人
第2章 戦場の仕事人たち
第3章 イラク戦争を支えたシステム
第4章 働く側の本音
第5章 暗躍する企業戦士たち
第6章 テロと戦う影の同盟者
第7章 対テロ・セキュリティ訓練
第8章 ブラックウォーター・スキャンダル
著者等紹介
菅原出[スガワライズル]
1969年、東京生まれ。中央大学卒業後、93年から98年までオランダに留学し、アムステルダム大学に学ぶ。在蘭日系企業勤務、東京財団リサーチ・フェローなどを経て、現在は国際政治アナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
22
84続けてPMCについての本です。民間軍事会社のメリットとデメリットを分かりやすく解説していますが、この本ではイラクが大量破壊兵器を保有しているという情報を流すなどの印象や情報操作も含められているのがとても新鮮に感じました。この企業とネオコンが結びついた事であの不幸な戦争が起きPMCの需要が伸びたが代わりに質の低下を招き雇ったクルド人による無差別銃撃事件やブラックウォーター事件やアブグレイグ刑務所事件等に繋がり無法者集団等の悪いイメージがついてしまった。しっかりした企業の対応や最後の訓練は印象深かった2022/10/02
リキヨシオ
19
軍縮を進めた大国の受け皿として成長した「民間軍事会社」…主な業務は、コンサルティング、ソリューション、安全訓練、24時間緊急対応…さらに、情報操作工作や、貧困国家に代わり武装勢力との戦闘、ジャーナリストへの訓練、テロリストへの交渉、捕虜への尋問など、国家の手が届かな部分を担当する。イラク戦争の時に多くのPMCが誕生した一方でビジネスチャンスとしてPMCを立ち上げて失敗する例もある。そもそもイラク戦争は情報操作と安上がりで済ませたいという思惑があり、現在のイスラム国が暗躍する現状に繋がるという一面もある。2015/02/05
Katsuto Yoshinaga
15
約20年続いたアンゴラ内戦を約1年間で終結させながら、約10年間の活動後会社解散の憂き目にあった初の民間軍事会社(PMC)エグゼクティブ・アウトカムズ社(EO)から、いま度々メディアに登場するワグネル社まで、ぼんやりとしか認識していなかったPMC。戦闘地域でのロジスティクス、セキュリティ、捕虜の尋問、正規軍のカバーからメディア対策まで担うPMCの実態、国家が独占することで効力を発揮していた暴力装置のアウトソーシング事情がよくわかった。冒険小説読みの嗜みとしての一冊。ルポとしてもおススメ。2023/04/16
鮫島英一
11
民間軍事会社(PMC)と聞くと、金に意地汚い無法者の傭兵集団というイメージ付きまとう。イラクで定着したイメージは、ある意味で間違いではないが、ややステレオ化した面もある。この作品では負の側面に目を向けつつも、彼らが提供するセキュリティ対策であったり、紛争地に派遣される警官のようなプラスの側面も描いている。賛否はあるだろうし、とかく日本人は軍事に対してアレルギーが強い。それ大切な感情だろうが、治安がよろしくない地域に日本人が派遣される機会が多い以上、PMCが提供するプラスの側面と向き合う必要があるだろう。2020/12/28
skunk_c
7
イラク戦争を中心に民間軍事会社(PMC)の実態を紹介。物資輸送や警備部門については知っていたが、軍等への訓練も担当していることなどは初めて知った。また南北格差を利用した利潤構造と各国「軍事労働者」の存在なども興味深かった。が、何か足りない。最近は治安保持が重要でPMCもそちらに重点を置いているという。でもイラクやアフガンの治安を破壊したのは他ならぬアメリカではなかったか。そしてその財政支出でPMC幹部がどれだけ儲けたか。親会社のひとつハリバートンのCEOは副大統領になったのではなかったか。2015/02/25