出版社内容情報
内容は後日登録
内容説明
「女の一生」で知られる作家モーパッサンは、一方で、19世紀を代表する短篇小説作家でもある。本書は、思いがけない運命に翻弄される哀れな人間の姿を、皮肉と苦い笑いと共に描く大人の短篇集。「首飾り」「ジュールおじさん」「水の上」などの代表作に加え、「みれん」「告白」「ミス・ハリエット」など、20作品を厳選した。運命、女、水、といったモーパッサンの小説世界のエッセンスを1冊に凝縮。
著者等紹介
モーパッサン,ギ・ド[モーパッサン,ギド][Maupassant,Guy de]
1850‐1893。フランスの自然主義の作家、詩人。パリ大学進学後、普仏戦争で軍役につく。その後、パリの海軍省の役人となり、傍ら小説を発表。フローベールと出会い、多大な影響を受け、1880年、同人誌に「脂肪の塊」を発表。以後、新聞の連載小説などで活躍する流行作家となる
山田登世子[ヤマダトヨコ]
フランス文学者。愛知淑徳大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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viola
16
モーパッサンにはまりました。短篇よりも大長編派な私ですが、モーパッサンは短篇の名手中の名手では。彼だけは、長編よりも短篇の方が上手い気がします。って長編1作しかまだ読んでいませんけれど・・・。共通するテーマは「あーあ、知らなきゃよかったのに!」と「死」。そして、人間の弱さ、愚かさ、水。余韻が極めて長く残る作品ばかりで、考えさせられるけれど、意外とそこまで重くはないという絶妙な加減。特に好きなのは、「みれん」「ざんげ」「首飾り」「旅にて」「宝石」。モーパッサンの短編は購入していきたいと思います。 2012/10/15
壱萬参仟縁
8
解説によると、「人間は、まさしく水のように弱い人びと」(295ページ)。弱さを認めて先に進むしかない。描写がいいのは「木の間から射しこむ曙光が、この暁の霧を横切って、田園の恋人たちの背後の霧を薔薇色の光で照らしだし、キラキラした明かりのなかに二人の影を映しだします」(72ページ)。素敵な恋人像が浮かぶ。一方、「自分がひとりぼっちで、人生に見捨てられている気がしました。子どももなく、ほとんど親族もなく、もはや愛情のない夫はいっしょに来るでもなく、こうして自分を世界の果てに追いやってしまう」(184ページ)。2013/02/12
ぷらんとぱいん
3
文学部大学生時代に一度読んだ時は、その簡素かつ無駄のない文体や構成がとても優れいるというような分析的な読み方をしていたが、40歳間際にあらためてみるとその物語そのもの、人生の後半のひとときの中の救われなさや悲しみがとても心にきた。小難しい批判的な読み方の先にこういう時代や国柄を超えた普遍的な情動を呼び起こすことこそが、不朽の名作と呼ばれる所以なのだなあど改めて感じた。2023/11/04
unamaster
3
モーパッサンは初見。短編集で読みやすい。人間の描写が本当に人間くさい。凡夫の考えることは愚かで取り返しがつかず、また同じようなことを繰り返す。卑怯で、矮小で、ずるい。しかしあっけなく終わりが来る。その中で自らの愚かさに気がつき後悔して、それでも戻れるわけもなく。というのが人間だということですね。モーパッサンはよーく人間のことがわかっていらっしゃると思いました。「女の一生」を読んでみようという気にさせられます。2017/07/26
脳疣沼
2
寝る前に一二編づつ選んで読んだ。『ジュールおじさん』や『首飾り』は素晴らしいと思う。代表作と言われるだけある。沢山収録されているので、中には微妙なものもあるが、全体を通して一定のレベルを保っていると思う。2014/10/29
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