出版社内容情報
内容は後日登録
内容説明
坂本龍馬の伝記を紐とけば、彼がその生涯で関わりを持った幾人かの女性に出会うことができる。しかしそれは、誤った想像や通説に寄りかかったものであることも少なくない。彼女たちはどのような人生を送ったのだろうか。本書は、彼女たちの足跡を丹念にたどり、史料の渉猟や関係者へのインタビューを重ねることによって、従来の誤った説を正し、新史実を掘り起こしたノンフィクション。幕末維新を生きた女性たちへの深い共感がここにある。
目次
第1章 加尾―青年龍馬の初恋の女性
第2章 徳―小町娘はお徳さん、夜遊び仲間に龍馬あり
第3章 須磨―“龍馬って、いやな男でしたよ”
第4章 佐那―結婚を約束し生涯貞節を貫いた千葉道場の娘
第5章 登勢―大胆で情に厚い志士たちの庇護者
第6章 元―龍馬が寵愛した長崎芸妓
第7章 乙女―龍馬の最も良き理解者“坂本のお仁王さま”
第8章 りょう―“おもしろき女”“みょうな女”龍馬最愛の妻
著者等紹介
阿井景子[アイケイコ]
1932年長崎市生まれ。佐賀大学教育学部卒業後、上京。出版社の編集者を経て作家活動に入る。史実を重視し、歴史の掘り起こしに努めて独自の小説世界を構築している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
国士舘大学そっくりおじさん・寺
10
再読。『加尾』『徳』『須磨』『佐那』『登勢』『元』『乙女』『りょう』の八人のドキュメント。よくあるタイプの本に見えて、なかなか独特。加尾の部分がつまらないのだが、徳のあたりから俄然面白くなる。推理、検証、調査に加え、貴重な資料の引用が飽きさせない。おりょうさんの写真の真偽にまつわる部分も読み応えあり。薄い本だが好読物。ちくま文庫に入るだけの事はある(o^-')b。2012/07/10
壱萬参仟縁
3
文体が一文一文、段落替えてあるので、パラグラフの塊がつかみ辛いが、慣れれば大丈夫。元は、「息抜きをし、くつろいだ。内縁の妻りょうにはない、安らぎと癒やしん得ていた」(110ページ)。変革のために各地へ東奔西走していた龍馬が、束の間の休息を求めたのはしごく当然かもしれない。元の美貌、怜悧、琴や三味線が堪能、初々しさに惚れたらしい(111ページ)。リーダーにふさわしいパートナーは、どんな人物ならいいのか、考えさせられ、今も昔も市民のためになる人が期待される。2012/08/12
井戸端アンジェリか
2
龍馬と関係があった女性八人ではなく、関係のある八人でした。女性達の事よりもその周りの同志や関係者の方に重点が置かれているので、個人的には物足りなかった。 でも貴重な写真が見られたので読んで損はない。2012/12/25
maito/まいと
2
龍馬と関係性のある女性に焦点を当てた短編集。小説というよりは評論に近いかもしれないが、女性に焦点を当てると、情熱的で、割と猪突猛進で、それでいて純粋だった龍馬像が見えてくる。同時に龍馬が生きていたからこそ輝いていた女性達の生き様も感じられる内容。切なくなるその生涯も、一つの歴史、目を背けてはいけないのですねえ・・・2011/03/09
amabiko
1
史料や聞き書きの引用を交えた文体がこなれておらず、読みづらい。加尾、徳、須磨、佐那、登勢、元、乙女、りょうー龍馬と関わりあった8人の女性について、郷土史料などの通説を正し、新史実を掘り起こす、という趣旨なのだけれど、結局は聞き書きや講釈師伊藤痴遊の著作を多く引用している。やはり一度流布した伝説の虚を剥ぎ取り、実を掘り起こしてゆくのは至難の業か。「あとがきに代えて」および「文庫あとがき」で取り上げられた「偽おりょうの写真」は面白く読めた。しかし、りょうの生涯は興味深いよなぁ。2013/07/08