出版社内容情報
辻 大介[ツジ ダイスケ]
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内容説明
やはりこの国には「分断」がある。では、いかなる意味で…?「分断」問題を調査データから検証する。ネット研究の第一人者が集結し、社会学・社会心理学の見地から分極化にむかう現代日本の様態を示す。
目次
序章 ネット社会と民主主義の「分断」問題
第1章 ネットの影響は強力なのか―社会学の観点からの理論的検討
第2章 ネットは政治的意見への接触を偏狭にするか―安倍政権に対する支持と意見を題材に
第3章 ニュースへの接触パターンは政治的態度とどのように関連しているか
第4章 ネットは自民党支持を固定化させるのか―3時点にわたる追跡ウェブ調査データからの検証
第5章 誰がなぜ改憲に賛成・反対しているのか―自由記述データの計量テキスト分析から
第6章 デジタルネイティブ世代は分極化しているか
第7章 SNSは他者への一般的信頼を損なうか―パネル調査データによる検討
第8章 ネットは人を異なる意見に不寛容にするか
第9章 ネットは世論を分極化するか―政権支持と改憲賛否を中心に検証する
終章 ネット社会と民主主義のゆくえ
著者等紹介
辻大介[ツジダイスケ]
大阪大学大学院人間科学研究科准教授。1965年大阪府生まれ。東京大学大学院社会学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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那由田 忠
22
意識調査を最新の統計技術を駆使して分析し、米国で言われるようなネット(SNS)によって、人々の価値観が全体として大きく対立するように分かれるかを検討する。論文によって結果が微妙に異なっているが、日本では米国ほど一方の意見のみを読むという結果は出てこないようだ。新聞の立場は違うけれどもそれなりの信頼感が残っていて、異なる意見を聞く機会の多いことが理由のようだ。問題は、改憲をテーマにするものの、何の改憲かが不明なときと9条の時で意見が変わる特殊性があるのに、それを軽視してデータ分析に終始することだろう。2022/02/18
のるくん
7
『ネットは社会の分断を招くのか』メディアが大衆のTV・新聞から個人のインターネット・SNSに拡がり、デジタル格差の問題も。ネットがそれほどまでに影響力をもったのか。どの国のどの為政者も、多かれ少なかれ、真実もフェイクも織り交ぜて、人心を掴もうと力を注ぐ。まるで魚(民)を囲い込む投網か定置網か。そして、ネットはこれでもかとレコメンドしてくる。そんな誘惑に身を任せるのはラクでもワクワク感がない。本屋も図書館もいつもと違う書架を探検し、本を手に取り、新しい知的発見をしよう。真実かフェイクか見抜く力をつけよう。 2022/05/03
小鳥遊 和
6
社会学・心理学者が「選択的接触」他を論じる。『ネットは社会を分断しない』を「ネット利用の分極化効果を調査データで検証した唯一の先行研究」と位置づけその結論に疑問を呈示。6章で浅野は「中高年に比べ若年層がネットメディア利用が多いのに(ので)中庸化している」のは若年層が政治関心が低いためかも、また同書の「分極化指数」操作が学問的に問題ありとする。9章と終章で辻は米国の実証研究も中庸化を示したが女性・若年層・低学歴層など社会的弱者は政治的影響力が少ないため政治関心が低いとし、強い声と弱い声のデジタル格差を指摘。2025/03/29
takao
3
ふむ2023/01/13