内容説明
ライフワークの花を咲かせることはあらゆる人に可能である。この花は晩年になって始めて結実する。そのためには自由時間の使い方を考えなくてはならない。自分の生きがいとなり、人生の豊かさにつながる、能力の備蓄をすることが必要だ。バッテリーは使い切るまえに絶えず充電しなくてはならない。輝かしい、円熟したフィナーレを迎えられるよう、一日一日の生き方を考えてみよう。
目次
第1章 フィナーレの思想(ライフワークの花;フィナーレの思想)
第2章 知的生活考(再考知的生活;分析から創造 ほか)
第3章 島国考(パブリック・スクール;コンサヴァティヴ ほか)
第4章 教育とことば(教育の男性化;面食い文化 ほか)
著者等紹介
外山滋比古[トヤマシゲヒコ]
1923年生まれ。東京文理科大学英文科卒業。お茶の水女子大学名誉教授。専攻の英文学に始まり、テクスト、レトリック、エディターシップ、思考、日本語論の分野で、独創的な仕事を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月讀命
61
書店で東大・京大で一番読まれている本『思考の整理学』の隣にあったので、この本も一寸か齧ってみたくなり手に取った。30年以上前に書かれたと本という事だが、時代が変わっても日本人の特性、思考法は大きく変わっていないので、今でも多くの人に読み続けられているのだろう。人生を短距離走ではなく長距離走にたとえ、折り返し地点である40歳を過ぎた頃から大きく視野を広げて様々なな事を吸収すべきである。自分の視野に立ちライフワークを見つめる事の大切さ。輝かしいフィナーレを迎えられるべく一日一日充実した人生を送りたいものだ。 2011/12/20
Miyoshi Hirotaka
45
スマホの力で見た目だけの博覧強記にはなれる。ところが、3分後に記憶から消える検索がいくら上達してもそれは切り花を買うのと同じ。つつましい花でも自分の育てた根から咲く花には敵わない。人生80年、物心がない最初の10年を除いて二等分すると折り返しは45歳。ここを過ぎたらこれまでと反対の方向に走ることが前進になる。余生はあってはならず、完走が目的。充実した自分だけの無為の時間が予期しない発見につながる。仕事と関連が薄いものでも人生の収穫期になるとお互いにつながり、豊かな実を結ぶ。誰にでもライフワークは可能。2014/10/15
藤森かつき(Katsuki Fujimori)
39
40年前のエッセイを、10年前ちくま文庫にする時に大幅に削除・訂正したとあるけれど、昭和の時代らしさが残っていて却って興味深い。それなのに内容は古くさくはなく、今だからこそ、考えてみるのに相応しい内容と感じる。「ライフワークとは、それまでバラバラになっていた断片につながりを与えて、ある有機的統一にもたらしてゆくひとつの奇跡、個人の奇跡を行うことにほかならない。」この言葉は、噛み締めたい。含蓄のある内容が詰まった本なのだけど、ただ、ライフワークに関して書かれた内容は短い。もっともっと思想を語って欲しかった。2019/12/16
ふね
17
歯切れのいい文章で読みやすい。ライフワークをつくって人生を充実させるのは非常に重要なこと。「忘却」の重要性を説いた一節も新鮮だった。2015/03/04
ひよピパパ
14
外山滋比古先生のエッセイ集。①ライフワーク、②考える大人の学びの必要性、③島国に生きることについての考察、④教育と言葉の問題について淀みなく語られる。ただ、本文中にもことわりが書かれてあるが、取り上げられているデータが古すぎるのが少々難点。2020/05/17
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- 和書
- LB 244+1