内容説明
「紅い花」に始まる、つげ義春の“旅”。見知らぬ土地で出会う少女、飄々と生きる男たち。独特のユーモアに溢れる旅マンガの傑作12篇を収録。
著者等紹介
つげ義春[ツゲヨシハル]
1937(昭和12)年、東京葛飾生まれ。小学校卒業とともにメッキ工場に勤める。その後職を変わりながら、職業としてマンガ家をめざし、1955(昭和30)年に単行本『白面夜叉』で本格デビュー。貸本マンガや子供向け雑誌で活躍。1965(昭和40)年から「月刊漫画ガロ」に作品を発表し、じょじょに注目を集めるようになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あたびー
44
先日読んだアンソロジーに収録されている作品が多い。地方の鄙びた町や村を訪ね、投宿する話なのだが、中にはとんでもない宿もある。しかしこれらはほぼ作者の創作なのだそうだ。発表当時つげ義春の本を胸に抱いてそうした舞台になったところを訪ねる若者が多数いたらしく、作者の方は創作なので困惑したのだとか。「紅い花」はそんな中宿泊ではなく茶屋で休んだエピソードになっているが、月経痛に悩む少女と近所の少年の淡い恋心(?)を紅い花に託した名作であります。2022/03/10
Vakira
37
つげ義春作品集 5作目。この作品集は釣り&温泉旅行の短編集。水木しげるの風景画にも似ているが、コマの風景画は切り取って絵になる様な丁寧な描込み。相当集中して描いていると思う。表題の「赤い花」はNHKでドラマ化された程の名作。おかっぱ頭の少女のキャラが面白く可愛い。このキャラは別の作品にも登場する。コバヤシチヨジ もっきり屋の少女 一銭五厘で買われ居酒屋もっきり屋で働いている。んん?もうお酒飲めるの?飲んじゃっていいのか?面白いが切ない。主人公は王子様の様に助ける事は出来ない。心に残るは「頑張れチヨジ!」2017/07/28
つちのこ
30
ずっと昔から何度も読み返しているが、『リアリズムの宿』が一番印象に残る。ふらりと立ち寄った青森鯵ヶ沢の漁港、古びた民宿。このロケーションだけでも何ともいえない寂寥感が漂う。特に、寒風が吹く中、生活に疲れた表情の宿の母ちゃんが、イカを入れた鍋を両手に持ってうつむきながら歩いていく背中が身震いするほどのリアリティ。死神が不幸を運んできたような悲壮感が充満する世界。やはり、つげ義春は只者じゃない。2022/05/25
ツバメマン★こち亀読破中
23
つげ義春の“旅”をテーマにした作品を集めた一冊。つげ独特の世界観はいったい何だろう?人間の本質が剥き出しになっていて、出来れば見たくないけど、つい読み進めてしまう…。描かれて50年あまりが経っても、似たような作品は現れていない(気がする)。2020/02/09
フリウリ
11
「つげ義春全集5」(1994)の文庫化。「全集」ではこのあとの「全集6」として、本シリーズ第1巻(「ねじ式」など収載)が入っていた。収録作品は、紅い花(67)/西部田村事件(67)/長八の宿(68)/二岐渓谷(68)/オンドル小屋(68)/ほんやら洞のべんさん(68)/もっきり屋の少女(68)/やなぎ屋主人(70)/リアリズムの宿(73)/枯野の宿(74)/庶民御宿(75)/会津の釣り宿(80)。旅ものが集められている。貧しく偏屈な旅をとおして、つげ義春のマンガの世界は、一気に広がる印象です。102025/01/02
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