著者等紹介
梶井基次郎[カジイモトジロウ]
1901‐1932。大阪・土佐堀通に生まれる。旧制三高のころ文学に開眼。東大英文科にすすんで友人たちと同人誌「青空」を創刊し、「檸檬」「城のある町にて」などを発表。肺を患い、伊豆湯ヶ島温泉へ転地。「ある心の風景」「Kの昇天」「桜の樹の下には」などを発表。病状の悪化にともない帰阪。小康を得た間に「闇の絵巻」執筆。三十歳のとき友人たちの尽力で創作集「檸檬」刊行。翌年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
273
本書を手に取ったわけはチェーホフの『桜の園』における桜繋がりで『桜の木の下には』を読むためであった。この作品は掌編で”桜の木の下には死体は埋まっている”とする内容。本作には梶井の28の短編・掌編小説が掲載されているが、読後に感じたことは梶井とチェーホフには大きな関連性があることを見出したことだ。ともに早世であり、梶井の作品の多くはチェーホフのペシズム(悲観主義・厭世観)の影響を色濃く感じる。基本的にチェーホフは物語(戯曲)を中心とした作品なので梶井の私小説としての物語の方がより厭世観の深刻さが増している。2019/01/14
佐島楓
26
岩波文庫版で読んだきり、数年ぶりの再読。作風の多様さにまず驚かされる。私小説風のものが一番多く収録されているが、ミステリっぽい話の立て方をした短編もある。あとは鋭敏な感覚、特に自然に向けられた感覚が凄い。今の自分と同じ年齢で亡くなった作家。恐ろしいような気分になる。2012/09/19
ロマンチッカーnao
24
檸檬を再読したくて、手に取った本ですけど、『路上』が一番好きでした。短い作品ですけど、転んで、その拍子に書きたいと思う。それが自分が転んだことなのか、小説じたいなのかわからないけど。感性のするどい人なんでしょうね。何度も読みたくなる作品ばかりでした。2018/05/19
月夜乃 海花
15
読むと胸が苦しくなるというかなんだろうこの感じ。すごく自分の感受性に響くというか。檸檬は読んだことあったけれど、ここまで自分の心に響いたのは初めて。檸檬は色が鮮やかだという感想をよく聞きますが、私はそれだけではなくて梶井基次郎の生き方を考えていたらとにかく胸が苦しくなってしまって…。うまく言えないけど、息ができなくなる。
とうゆ
14
詩のような短編ばかりだった。この人が書く長編も読んでみたかった・・・。檸檬の発想にはくすりとさせられ、梶井さんはきっと繊細な人だったのだろうなと思った。2014/02/15