内容説明
「春風亭柳昇といえば、いまやわが国ではアタシ一人でしてェ…」戦後、新作落語で一世を風靡した著者の『与太郎戦記』に続く第二弾。前著で書ききれなかった戦地でのエピソードから、戦後、落語家になるまでを描く。中国大陸の激戦地にありながら、どこかのんびりとした兵隊たちの日常が、独特の文体で飄々と描かれる。市井の人々の苦しみの記録でもある。貴重写真収録。
目次
東部六十二部隊に入隊
唾を吐く少尉殿
のん気な兵隊
毛虱掃討作戦
慕われた中隊長殿
斥候
我は囮部隊
戦闘開始
盗難事件
お犬さま掛り
局所負傷兵
泣けない芝居の『父帰る』
少女と兵隊さん
寄席通い
鼻を切るはなし
意外な訪問者
貞鳳さんとの出合い
落語兵入隊
著者等紹介
春風亭柳昇[シュンプウテイリュウショウ]
1920年東京生まれ。本名秋本安雄。第二次世界大戦に陸軍歩兵として従軍。六代目春風亭柳橋の長男と戦友だった縁で、復員後の1946年入門。柳之助で前座。二つ目昇進で柳昇。1958年真打ち。出囃子は「お前とならば」。新作落語を得意とした。日本演芸家連合会長、落語芸術協会理事長などを歴任。1982年芸術祭優秀賞受賞、1990年勲四等瑞宝章受章。2003年6月、胃がんのため没。享年82歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おとん707
4
落語家春風亭柳昇になる前の若い筆者が体験した軍隊生活を描いているが、文章に散りばめられたユーモアの合間に過酷な戦地の様子が垣間見える。傷痍軍人となって帰還したが、最後に書かれた「生きて還れただけでもしあわせと思っています。」という言葉に外地で戦い抜いて帰還した厳しい体験の実感がにじみ出ているように思う。私事だが、学生時代に三鷹駅の売店でバイトをしていた時に柳昇師匠が通りがかりに草餅を「包は要らないよ。」と言って買ってくださったのを思い出した。トロンボーンを持って高座に上がる師匠の姿が印象的だった。2020/08/15
4k
2
与太郎戦記の続編。トーンは前作とほぼ同じだが一つ一つのエピソードが興味深い。二冊読むべし。2009/09/10
茶々太郎
1
続編。こちらの方が文章に力みがなくて読みやすい。落語家を志してからの話が読みたくなった。2014/02/23
ほたぴょん
1
柳昇師匠の落語は巧まざる味みたいなすっとぼけかたに笑わせていただきましたが、そういう味が軍隊話にも出ていていいですね。後半は敗戦で日本に帰ってきてからで、このあたりから少ししんみりします。2009/11/21
eiger99
1
泣くが嫌さに笑い候2008/06/08
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