内容説明
アメリカの戦争に追従し、国民を徹底監視するこの国を支えるのは誰か?「生活保守主義者」という「支配されたがる人々」について明解に分析。また、格差を広げ、統制を強めるこの国の政治、プロパガンダ化するマスメディアを鋭く批判する。文庫化にあたり、「イラク人質事件」「石原都知事三選」等のポピュリズムの恐ろしさを指摘。「日本人」をテーマにした原稿を収録。
目次
第1章 なぜこんな国になってしまったのか―好んで国家側に立つ人々
第2章 あなたは国家に監視されている
第3章 あなたも参加している戦時国家ニッポン
第4章 あなたも差別されている―北朝鮮拉致事件、司法改革、教育改革、石原慎太郎、公共の私物化
第5章 権力のプロパガンダに堕したマスメディア
第6章 ジャーナリストとして譲れぬこと
著者等紹介
斎藤貴男[サイトウタカオ]
ジャーナリスト。1958年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業。英国バーミンガム大学修士(国際学MA)。新聞記者、週刊誌記者などを経てフリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
14
書き下ろしではなく短い記事の集成本。堂々たる悪が選良と呼ばれ、弱者を踏みにじる。本人の頭の中ではどのような正当化がなされているのか不思議でしょうがなかった。読書メーターを始め、ときどきランダムにつぶやきをのぞいてみると、少しわかってきた。住基ネットやらマイナンバーやらを嫌がる感覚を無理やりねじ伏せて「これだから利便性を解さず何でも反対の皆さんは笑」「あらゆる角度から真に実効性のある方策を探るべきですね」などと、想像上の治者の立場に立ちたい層が存在するのだった。彼らが愚の集積点たる政権を補強する構図がある。2021/08/19
Ikuto Nagura
4
「人々があたかも映画の観客のように、ただ眺めていることしか許されない受動的な位置に押し込められた世界、資本主義における究極の統治形態を指している」そんな「スペクタクル社会」が展開してゆく。ただ眺めている先に人類の幸福があるならば、従順な観客としてそれを楽しもう。しかし、一部の支配層に都合が良いだけの、捨て駒か盾か財布になる未来が待っているのなら…。観客でなく非国民となって、能動的に社会参加せねばならない。勇気のいる宣言だ。権力は必要悪で、戦争が絶対悪である前提を、些末な事象に惑わされて矮曲してはいけない。2015/10/25
壱萬参仟縁
1
2003年の論稿によると、「全行動を監視する『ユビキタス』の恐怖」(p.73~)と書いてある。ICカードの議論の淵源を見た感じ。住基ネットの話しも、個人情報が狙われるので、これの延長線の問題がICカード2015年1月交付と連動しているのだろう。権力が国民個人を特定するために、利便性が高まるというのは、コストが別にかかることを意味しており、そういう説明をされる。だが、便利な世の中とはカネがかかる。みんなが富裕ではないことを忘れてはならないのではないか。2012/05/25
そのげる
0
社会の裏側がわかったぜ2009/03/28