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ちくま文庫
孤高の人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480423108
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

内容説明

「湯浅さんは機嫌のいい時、ふっと何気なく百合子の話を口にした。(略)別れて半世紀もたった今でも、まだ百合子への愛は消えていないことを示していた」。宮本百合子との同棲でも知られるロシア文学者の湯浅芳子。毒舌と細やかな心遣い、資産家で吝嗇、一流好みで俗物嫌悪、そんな独特な個性を持つ文学者の心奥を田村俊子、矢田津世子、平林たい子、円地文子、堀多惠子らとの交流を交えて縦横無尽に描き出す。

目次

はじめて逢った頃
逃げた恋人
軽井沢の別荘
タクシー代
形見のきもの
もらいそこねた絵
ふるさと京都
俗物嫌い
猫の子
老人ホーム騒動〔ほか〕

著者等紹介

瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
小説家、天台宗の僧侶。1922年、徳島市に生まれる。61年『田村俊子』で田村俊子賞、63年『夏の終り』で女流文学賞を受賞し、作家としての地位を確立する。73年中尊寺で得度、寂聴となる。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、2001年『場所』で野間文芸賞を受賞。『源氏物語』の現代語訳でもその名を知られる。その他著書多数。2006年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カエル氏

1
なんだか分かる気がする…ここまで強烈な人はなかなかいないけれど、湯浅氏みたいな人いるなー。なんだかんだ振り回されながらも、晴美さんの目線が温かい。2015/05/01

むつみ

1
ロシア文学者の湯浅芳子についての随想。宮本百合子への想いや毒舌の中にある美意識が心に残る。2014/08/06

ふみ

1
湯浅芳子伝。瀬戸内晴美時代に書いた「田村俊子」の取材をきっかけに付き合いが始まったとか。壮絶に我儘で気難しく、締まり屋で罵詈雑言が達者。羽織で芸者を呼んで小料理屋で粋にキメるが支払は全部相手持ち。ファッションはとてもオシャレだが、中性的で通りすがりの子どもに「男?女?」といわれるとブチ切れる。付き合う女たちが最後は男に走っていくのを嘆き、生涯愛したのは宮本(中条)百合子だけ晩年飼っていた犬にも「リリー」と名付けていた。大正の時代にロシア語翻訳を志し、チェーホフを日本に紹介した異端で孤高の人。まさにクイアー2012/11/10

レイラ

0
湯浅芳子さん素敵で無敵2024/04/17

かす実

0
この年代に特有の、濃い人間関係と硬派な美学に憧れる。湯浅芳子と女たちの関係、そしてそれを眼差し記述する瀬戸内の視線、そこから浮き彫りになる湯浅と瀬戸内の関係、人間関係の記述に複層的な魅力がある。瀬戸内の文体も相俟って、語りを聞いているような気分。家族の拡張みたいな人と人の絆は昔ながらのものだが、そこにある権威は家父長制的なマッチョイズムとのずれがある。この強く気高いレズビアンがこの時代の日本に生きていたということ、勇気づけられる。2023/03/13

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