内容説明
この世界はロクでもない。なぜなら、せせこましい思想家が作り出す「観念的言語」がのさばっているからだ。これを根こそぎにするために必要なのが、チンピラのように高い志、先人たちへのリスペクト、そして読み手に対するサービス精神に他ならない…。志賀直哉、カフカ、井伏鱒二から、ゴーゴリ、柄谷行人、鈴木大拙、宮崎市定、マキアヴェッリまで、愛すべき快男児たちの肖像を描く「極太」評論集。
目次
1 助走―あなたがたに言っておく(唯物論ならず者)
2 エクリチュール(ゴーゴリ、パンクス文学の始祖;カフカ、アンダーグラウンドの動物 ほか)
3 思想(大拙はぼくらの友達;「人造的自然人」の思想―柄谷行人の『探求2』について ほか)
4 うた(修業者の言語―中原中也試論)
5 ボーナストラック―快男児研究の現在(「私的な欲望」について;快男児の基礎―アラン・バディウ『聖パウロ』について ほか)
著者等紹介
石川忠司[イシカワタダシ]
1963年東京生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒。1989年に『修業者の言語―中原中也試論』で群像新人文学賞優秀賞受賞。文芸評論家。だが、ソウルのあるものなら何でも論じる。傑物を貶めず、クズどもを蔑まない、そんな批評を目指している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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5
「生命は、何故様々な形態へと「進化」――「進歩」ではない――を繰り返して来たのだろうか。その生物的形態でなければ捉えられない新しいものを経験するためである。原始的生命体は膨大な時間をかけて、ミジンコ、カエル、ウサギ、野良ネコなどの形態を経て、ようやく人間に到達した。無論、ボブ・ディランを聴くためだ。――ロックンロールの新しさを体験するためだ。「進化」とは、まさしく生物学的「軽率」さが爆発していく過程に他ならない」(151ページ)2016/04/13
えも
2
カフカを「動物」、井伏鱒二を「ジャンクの守護天使」と断じるパンクな文芸評論。刺激的で楽しい批評でしたが用語や論理が難解気味で、実は相当読み飛ばしました。済まぬ…。2013/02/12