内容説明
反応は遅いが落ち着いていて、息がながく、飽きることが無い―これがイギリス人といえる。文学作品にも良く現れている。夏目漱石がいち早く注目したオースティンの小説は、何事も起こらない、何ページ読んでも、書かれるのは日常生活のことばかり、だが、人生の本質を見事に描く。理解しづらいイギリス、この国の小説を読み続けてきた著者が国民性の側面からロレンス、オーウェル、フォースター、ドラブルをはじめ、20世紀イギリス小説の世界を案内する。鋭い視点に貫かれた随筆集。
目次
シェイクスピアの国
私の好きなイギリス小説
着古した上衣
セント・アイヴズの光と風
文壇への道
倦怠の果実―マーガレット・ドラブルI
自意識の部屋―マーガレット・ドラブルII
忍冬のにおう午後―マーガレット・ドラブルIII
はなやかな観念―アイリス・マードック
噴水と青銅のランプ―イーヴリン・ウォー〔ほか〕
著者等紹介
小野寺健[オノデラタケシ]
1931年横浜に生まれる。東京大学文学部英文学科卒業。同大学院修了。横浜市立大学名誉教授、日本大学講師、文化学院講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きりぱい
6
言い足すなら、『イギリス的人生の本質が描かれた文学作品の案内』。「イギリス文学にしかないもの」と言われれば、自分でも漠然と感じ取ったそういうものに好みが一致してその方面が好きなのだと思うけれど、それもあって、好きな作家や読んだ作品にはピピッと反応。読んでいない作家は何がなんだかだけれど、そこはまあ読みたい作品が増えるという発見がうれしくもあり。文壇のプチ群像劇のような作家エピソードから著者の英国でのエッセイまで、とても興味深く面白く読めた。2010/05/25
viola
5
小野寺さんの訳はけっこう好き。イントロがシェイクスピアなので食いついたけど(笑) あとは、載っているのがかなり現代に偏っているために自分の好みの作家が登場せず・・・・・残念。単に自分の好みとずれていた、というだけです。2010/06/19
くまこ
1
イギリスの風景が目に浮かんだ。また、小説の舞台を訪ねる旅は自分も訪れたような気分が味わえてとても楽しかった。ロシア(ソ連)の話も面白かった。2018/01/17
ローリングエルボー
0
なかなかおもしろかった。2016/07/31