内容説明
かつての人気テレビドラマ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」では、卓袱台がもうひとつの主人公だ。食事どきや、団欒に卓袱台を囲み、ワイワイ、ガヤガヤ話し合った。卓袱台は、家族の歴史を知り尽くしている。あのころ確かにあった、家族たちのお互いへの思いや、近隣の人たちとの連帯は、いったいどこへ行ってしまったのか。大切なものの行方を探し、遠い日の記憶の中に佇む。敬愛する山本夏彦氏に依頼され「室内」に連載した随筆からは、真摯で繊細で照れ性な作家の姿が垣間見える。
目次
1(願わくば畳の上で;むかし電話がなかったころ;私はいったい誰でしょう ほか)
2(幻景二題;大礼服を着てみた話;ある秋の一日… ほか)
3(地図の話;日記を書いた日;瓶の中の悦楽 ほか)
著者等紹介
久世光彦[クゼテルヒコ]
1935年東京生まれ。東京大学文学部美学科卒業後東京放送を経て、映像製作会社を設立、ドラマの演出を手掛ける。92年「女正月」他の演出により芸術選奨文部大臣賞を受賞。作家活動としては93年『蝶とヒットラー』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、94年『一九三四年冬―乱歩』で山本周五郎賞、97年『聖なる春』で芸術選奨文学部門文部大臣賞、98年紫綬褒章など数々の賞を受賞。2006年3月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
22
古書市にて、2006年ちくま文庫。私の敬愛するコラムニスト山本夏彦さんが、主筆だった雑誌『室内』に連載されたものにそれ以外の媒体で発表されたエッセイを加えたものです。久世光彦さんも山本さんのファンだったらしく、連載の依頼がきて喜んで引き受けたそう。文壇でも、『室内』から依頼があればやっと一人前だと言われてたそうです。このエッセイでは昭和10年位の暮らしぶりが頻出します。昔は自宅で死ぬのも当たり前でした。今は始まりも終わりも病院。自分は両親とも、自宅で亡くなったので、珍しいがそれで良かったとも思った。2025/06/10
kao
2
この本は今時分に読むのがいいと思う。昭和という時代は本当に沢山の出来事があったけれど 生活の根っこのところはどこの家も同じだったのではないだろうか。あの頃のいろいろを懐かしんでいるのではなく、あれは一体何処へいってしまったのか?と探しているという久世さん。私も同じです。2015/11/21
すばる
1
美しくて優しい昭和の情景が浮かんでくるような本でした。2010/12/18
ミメイ
0
☆5