内容説明
『甲子夜話』『耳嚢』など、江戸時代の随筆から不思議な話を蒐集・分類した怪異大百科。舟幽霊、轆轤首、人魂、化け猫、河童、怪石など、様々な怪異を取り上げながら、その筆はあくまで軽く、ある時は『今昔物語』の昔へ遡り、あるいは明治へと下って綺堂や八雲、鏡花作品の典拠を指摘する。簡潔にして含蓄ある語り口が味わい深い、奇譚アンソロジーの決定版。
目次
化物振舞
大入道
一つ目小僧
轆轤首
舟幽霊
人身御供
再度の怪
夢中の遊魂
人魂
異形の顔〔ほか〕
著者等紹介
柴田宵曲[シバタショウキョク]
1897(明治30)年東京市日本橋区に生まれる。開成中学を中退後、独学で俳句、短歌、文章に精進、ホトトギス社に入社し編集に従事。寒川鼠骨の知遇を得て『子規全集』編纂に尽力した。『蕉門の人々』『古句を観る』など、俳句に関する著作は高く評価されている。晩年、書肆の求めに応じて『明治の話題』『妖異博物館』正・続などを著し、話題を呼んだ。1966(昭和41)年に死去
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感想・レビュー
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YumiMori
3
解説で東雅夫氏が言ってますが 豊かな博識と鑑識眼、偶然手に取れた私はまさに怪異。各章の最初と終わりの数行の宵曲氏がたまらなくいい。2014/07/07
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2
柴田宵曲氏による奇談怪談アンソロジーといった感じの本。著者はしがきで「~すべて不愉快な怪談になる以前のもので、中には妖異とか怪奇とかいう域に達せぬ話がないでもない」とある様に怪談としてのオチが無い話もある。そこが良いと思う。収録中の「猫の小判」の猫の情と「魚石」の生ける魚を内包する石の話が好きです。2013/04/28
戦狐
0
読書人である博識な作者の引用元の比較を巧みに用いていて理解しやすかった。正にタイトルのとおり“博物館”に相応しい2016/07/08
Smith, Ordinary. Person.
0
舟幽霊、轆轤首、人魂、化け猫、河童、など、江戸期から明治期にかけて書かれた不思議話を蒐集、分類した妖怪博物学の名著。昭和38年に刊行されたが、その内容は現代に至っても時代遅れの感はない。むしろ時を経たことで、かえって素晴らしいものである、と再認識してしまうほどの完成度だ。 水木しげるの妖怪事典にはまった人にはお薦め。
イソテルス
0
似たような奇談をいくつか集めて解説してくれる本なんだけど、宵曲先生はこれは妖気を帯びた感じ、これは神気がある、これはちょっと変なだけの話とか解説してくれる。奇談と一口に言っても色んなテイストがあるとわかる。弁当箱のおかずが消える話とか、ちょっと間の抜けた話がかえって本当っぽくて良い。2012/09/06