ちくま文庫
定本 二十歳のエチュード―付 死人覚え書

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  • サイズ 文庫判/ページ数 489p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480421005
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0192

内容説明

一切の芸術を捨てた後に、僕に残された仕事は、人生そのものを芸術とすること、だった―旧満州(新京・大連)に育ち、昭和19年、第一高等学校文科丙類に進んだ原口は、ランボーに憧れ、詩の世界を希求し、自己の内面をノートに書き綴った。昭和21年逗子海岸にて入水自殺、享年19歳。短い生を映し出す死の鏡の中に彼は何を見ようとしたのか。「純粋精神」の軌跡を示す「エチュード」の決定版に森有正、橋本一明らの追懐を収録。

目次

詩篇
二十歳のエチュード(訣別の辞に代へて;´Etudes 1;´Etudes 2;´Etudes 3;注釈)
死人覚え書―書簡と遺書
回想の原口統三(原口統三君を悼む(真下信一)
立ち去る者(森有正)
原口君の遺書(中村光夫)
黒い火(都留晃)
原口君への回想(中野徹雄) ほか)

著者等紹介

原口統三[ハラグチトウゾウ]
1927年1月14日、京城に生まれる。新京・奉天・大連をへて1944年第一高等学校文科丙類入学。ボードレール、ランボーらへの親炙、ヴァレリー、ニーチェとの対決をへて純粋意識と生の相克を詳細な遺稿断章「エチュード」に遺し、1946年10月25日、神奈川県逗子海岸にて入水自殺
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感想・レビュー

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oz

5
再読。1946年、一高生の原口統三は自ら命を絶った。ランボーに心酔する文学青年だった彼は死の前年『エチュード』と題した詩集をノートに書き遺していた。遺稿、一高同級生らによる寄稿を併録した定本版。原口の詩は文学以前の状態に留まっているような不安さを感じさせるが、好きだ。自意識とイノセントの相克する場で「人生そのものを芸術とする」決意をした青年の選択は愚かしいが同時にたまらなく愛らしい。2009/09/17

A2

4
タナトスまみれの「脱精神的マスタベーション」を提唱した本。自死の覚悟をこれほどまでに練り上げ、境地にふれ、彼の夭折願望は必然と化した。2010/01/10

犬都歩

3
入水自殺した詩人の、詩集みたいな遺書というか、遺書みたいな詩集というか。正直なところ文面からはそれほど押し迫った悲壮感は感じられないのだけれど、ただ、彼にとってはこの世界のいたるところに死ぬ理由があったんだろうなという印象。二階堂奥歯と同じく、この世界は彼にとってはとても存在するに耐えない場所だったのだろう。【「僕にとって、自殺は一つの新しい飛躍である」こう負け惜しみを言ったら、僕の天使が慰めて曰く、「死によって、あなたの姿が消え失せても、はばたきだけは風の中に残らないとだれが断言できるでしょう」】2023/07/13

なっぢ@断捨離実行中

2
二十歳を前にして自ら死を選んだ青年詩人の遺作。ランボーやヴァレリーに心酔するとこうなるのかと得心がいった。なるほど妥協や欺瞞を頑なに拒絶する潔癖さは確かに美しい。しかし人生であれ創作であれ何かにケリをつけるという考え方は一見、純粋でありながら奥底に一抹の疚しさを抱えてはいないだろうか、といった疑問もまた一緒に付いて回るものだ。十代の時に読んでたらまた違った感想になったんだろうけどねえ。2016/02/09

ステビア

2
後半の回想は読んでません。こういう夭折ものっていやったらしくて読んでられないなぁ。中学生の時とかに読めばショックを受けてたかもね。2013/04/25

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