内容説明
昏い不気味な中庭のベンチに女が哀れな姿ですわっている。亡霊の魔力に魅入られた男はその顔を見ずにはいられなくなる…恐ろしくも忘れがたいバレージの傑作「見た男」、キラ=クーチ「蜂の小箱」、マッケン「地より出でたる」、ボウエン「罌粟の香り」、トムスン「闇の桂冠」など、恐怖の深い味わいが読者を魅了する英国怪奇小説傑作コレクション。
著者等紹介
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年、東京に生まれる。作家、翻訳家。『酒仙』で第五回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。中華料理と怪奇小説に造詣が深い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
36
「恐怖」というより、強いて言えば「典雅」な趣きを感じる。この翻訳者の手掛けた仕事は初めて触れるのだが、流石にこなれた日本語となっており平明で読みやすい。悪く言えばそれだけ個性がないとも言えるのだけれど、私が他の「恐怖小説」を(例えば西崎憲のような訳者を通して)読めばこの印象も変わるのかもしれない。とまあ、腐すようなことを書いてしまったがもちろん駄本ではなく、プロフェッショナルな作家の仕事という手堅い印象を感じた。イギリスという古き良き時代からの伝統を持つ土地から生まれた「恐怖小説」を、もっと探索したく思う2019/02/01
藤月はな(灯れ松明の火)
24
生きながら死に、死にながら生きているという感覚が生々しい「林檎の谷」、生き物の体内のような家の描写と助けなかった村人の言葉に心底、凍りつく「目隠し遊び」、新しい住人に怯える物静かで可愛い幽霊との交流が微笑ましい「小さな幽霊」、呪物と隠蔽の「蜂の巣箱」、導入がユーモラスなだけに最後にぞっとした「不案内な幽霊」、不気味な「ブリケット窪地」、顔と本性を見た男の状態が悲惨な「見た男」、人間の「悪意」との契約を破棄した驕った男の逃れられない末路「闇の桂冠」やっぱり、ブラックウッドのショートハウスシリーズは最高です。2012/08/30
歩月るな
15
ここ数年ウェイクフィールド、ロセッティ、ブラックウッドと作品集が出ていたので「あれ?」と思ったら2005年刊行の訳者のアンソロジー第二弾でした。改めて感慨無量、このアンソロジーは既に一つの通過点だったのかもしれない。時期的には解説にもある様に創元の『怪奇礼賛』辺りから引き続き、『淑やかな悪夢』での鼎談にあったウォルポールの訳書も出ていたり別の所に面白味がある。ノースコートの『ブリケット窪地』が読めたのが良かったしシールの詰屈文体の見事な訳文やボウエンの技量などが味わえて、マッケンやウェルズも読める。最高。2017/01/12
1.3manen
8
H.G.ウェルズの「不案内な幽霊」(105頁~)。「人の性格というものは、肉体を離れても全然変わらないんだね」(111頁)。精神異常、幽体離脱とはどんなものかと。心霊写真とかどんなものか。来世から現世を見てくれるのなら、今の人間のやっている愚行はやがて、我々が見させられるか。エクス=プライヴェート・エクス「見た男」(215頁~)は、「世の中には、えてして人に好かれる感じの良い人間で、いつでも会いたいと思うが、いなくなっても誰も気にしない―そういう 消える才能(傍点) を持った男がいるものだ」(217頁)。2013/03/10
y yoshi (イツモ ホンヲ ハナシマセンデシタ)
7
『目隠し遊び』と『プリケット窪地』が好み。2019/09/03




