内容説明
売り出されたいわくつきの古い屋敷。先祖の縁で屋敷を買った叔父の命で下検分に出かけた主人公は、そこで謎めいた美しい女性と出会う。次々と現れる謎の人物。首なしの死体。時計塔のからくり。…「その怖さと恐ろしさに憑かれたようになってしまって、(中略)部屋に寝転んだまま二日間、食事の時間も惜しんで読みふけった」(江戸川乱歩「探偵小説四十年」)という名作「幽霊塔」と、父親の死をめぐる意外な顛末が面白い中篇「生命保険」を収録。
著者等紹介
黒岩涙香[クロイワルイコウ]
1862(文久2)年、土佐に生まれる。17歳で上京後、「同盟改進新聞」「日本たいむす」「絵入自由新聞」「都新聞」の主筆を歴任し「法廷の美人」はじめ外国探偵小説を翻案。1892(明治25)年「万朝報」を発刊、探偵小説ブームをつくる。以後は、社会浄化や憲政擁護運動に努め、その間、デュマ「巌窟王」、ユゴー「噫無情」など名作長編も翻案。1920(大正9)年死去。58歳
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