内容説明
大正2年、“吉本興行部”の看板のもと寄席興行に乗り出し、大阪演芸界を席捲した稀代の名プロデューサー吉本せい。こんにちの吉本興業の基礎をつくった女社長・せいの60年の生涯をたどりつつ、桂春団治、エンタツ・アチャコら吉本を担った芸人たちの芸と生き方、演芸の栄枯盛衰、興行をめぐるさまざまな事件など、関西演芸史を描く。
目次
序章 家庭
1 第二文芸館
2 桂春団治と安来節
3 万歳と小市民
4 エンタツ・アチャコ
5 落語との訣別
6 崩壊
終章 南区心斎橋筋二丁目
著者等紹介
矢野誠一[ヤノセイイチ]
1935年、東京生まれ。文化学院卒。62年、八代文楽、六代円生、五代小さんらの噺家をあつめた「精選落語会」を企画、成功させる。演劇・演芸評論、評伝、エッセイ等を執筆
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感想・レビュー
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nureyev
2
吉本せいの一生を把握することはできたが、なんだか物足りなさが残った さっと表面をなぞっただけの印象を持つのはなぜだろう2014/10/04
コノヒト
0
吉本興業の祖・吉本せいの生涯をたどるものとしては、山崎豊子の小説『花のれん』があり、読み比べる。小説では頼りないだけの男として描かれている夫・吉兵衛だが、その興行経営の初期に於いては、彼の果たした功績を少なくないものとして、著者は評価している。夫の死後、女社長としての箔をつけたいせいの情報操作によって、吉兵衛は小説に見るような吉兵衛になったと書いている点がおもしろい。中盤以降は副題にある浪花演藝史譚の趣が強い。2015/08/24