内容説明
恐るべき核実験によって、太古からの眠りを醒した原始怪獣ゴジラ。船舶を没め、島を蹂躙したのち、ついに日本本土へと上陸する。怪獣の炎によって灰燼と化した東京―。戦火の記憶も新らしい人々は、ふたたび絶望の淵へと立たされた。はたして人類に平和への道は残されているのか?原作者・香山滋によるゴジラ関連作品を集大成するとともに「獣人雪男」を収録した決定版。
著者等紹介
香山滋[カヤマシゲル]
1904(明治37)年東京に生まれる。法政大学経済学部中退。’25年大蔵省に入省。’47年小説「オラン・ペンデクの復讐」が『宝石』に入説。’48年作家活動に専念後、ぼう大な作品を執筆する。1975(昭和50)年没
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感想・レビュー
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Bugsy Malone
71
「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」については少年向け冒険活劇として一部人物設定に変更があるものの、映画のモノクロシーンを思い浮かべながら読む2作は充分大人の読み物としても面白かった。そして今では封印映画となった「獣人雪男」滅びゆく種族の悲痛な叫びと哀しみを描いた本編は勿論、単行本化で付されたというまえがきが全くそそられる文章で素晴らしい。年代を追ったトーク&エッセイも時代背景や香山滋さんの心情などが読み取れ、とても興味深く貴重なもの。これだけの作品等を豪華に一冊に纏めた本書は、オビにある通りの正に永久保存書です。2017/04/04
まえすとろ
48
1954年に公開された日本初の空想怪獣映画『ゴジラ』。公開されるや大ヒットとなり劇場で観る事の叶わなかった子供達の為に創案者の一人である怪奇幻想作家の香山滋が自ら小中学生向けの「児童書」としてノベライゼーションしたのが本書。読み返すたびに現代の子供達の目には時代遅れの表現とストーリー展開に笑われてしまう事だろう。67年の歳月は同年代の子供達の知識や感情を遥かに「大人」にした。けれど、夢やイマジネーションといった情緒はむしろ後退する。<冒険譚>が生きて行けない日本の社会にいつから成ってしまったんだろうなぁ。2016/01/07
まえすとろ
34
日本初の怪獣映画。誕生から60年、未だに格別の人気を誇るそのストーリーの骨幹は日本古来から語り継がれている魑魅魍魎、妖怪、怪談話が根底にあるのだろう。 戦争によって国の為に殉じた兵士たちの魂は、戦後の民主主義によって浮かばれ得ぬ魂となり、御国への志を忘れ復興に浮かれる日本の社会に「荒ぶる御霊」となって蘇り、かつての敵、米国による東京大空襲の経路を巡り、再び大帝都を呪いの業火で焼き払う。物の怪の姿を借りた怨霊には人の持つ武器では全く太刀打ちが叶うはずもなく、戦後の日本国民は≪生き残ることの罪≫を問われる。 2015/03/28
tomi
29
昨年末の復刊を受けて積んだままだった初版で読む(気になる誤植がいくつか)。日本初の怪獣映画「ゴジラ」の原案に児童向けに書かれたノヴェライズ版、続編「ゴジラの逆襲」、ゴジラに関するエッセイとゴジラ尽くしの一冊。国民的キャラクターである怪獣の祖というべき作品だが、読み物としてはちょっと物足りない。併録の「獣人雪男」のほうが面白かった。2017/01/27
まえすとろ
29
1954年公開の日本初の特撮怪獣映画『ゴジラ』の基本シナリオを手掛けた小説家 香山滋が自ら完成台本を元に児童向け冒険小説として新たに書き起こしたノベライズ作品『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』とゴジラに関するトーク&エッセイ。『ゴジラ』として真のオリジナル作品である『G作品検討用台本』の他にゴジラに続いて香山にシノプシスが依頼された『S作品』は映画公開前に1955年8月号から10月号まで「小説サロン」で連載された作者自身による『獣人雪男』のノベライズ版をボーナストラックとして収録しているファン感涙の香山滋作品集。2013/01/18