内容説明
幕府の庇護のもと、安逸の夢を貪ってきた日本仏教界は、維新政府の神道国教化政策、ヨーロッパ合理主義による仏教的信仰の否定などにより未曾有の危機に追い込まれた。過酷な試練に直面しながら、親鸞の信に自らの生命の糧を見出し、封建的呪縛を解き放つため全身全霊で新しい近代教学を模索した先覚者たちの群像。
目次
序章 近代の幕開けと親鸞
第1章 「親鸞の名を担う教団」を求めて
第2章 いま、親鸞に聞く
第3章 親鸞の遺弟として生きる
第4章 親鸞数学の開顕
第5章 親鸞・普遍への道
終章 新・親鸞主義の成立
著者等紹介
安冨信哉[ヤストミシンヤ]
1944(昭和19)年生まれ。早稲田大学卒。現在、大谷大学特別任用教授。文学博士。専門は真宗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nbhd
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「坂の上の雲」のウラの日本史だ。真宗者でもない”ポッと出”の親鸞ラヴァーに過ぎない僕がこの本に感動したのは、一点、書き手の「歴史との向き合い方」にある。近現代の真宗教団は「明治政府との金権的癒着」や「戦時翼賛体制への協力」など、傍から見てもどうしようもない黒歴史を辿っている。けれど、この本はそうした歴史にちゃんと向き合い、黒い事実を記述したうえで、激動の時代を生きた真宗内部の改革者に目を向けていく。なかでも、戦争に反対し、果てには大逆事件で処罰される真宗僧・高木顕明の名前は、初めて知って勉強になった。2016/08/14