出版社内容情報
私たちは今、文章を読みながら思考力を使っている。その時に頭の中で働くのは「推論の力」だ。この力は人間だけにありAIにはない。その違いと謎を解き明かす。
内容説明
「思考力」というと、なんだか難しいことのように感じられるかもしれない。しかし、私たちは今この瞬間に文章を読みながら、思考力を駆使している。そしてその時に頭の中で働いているのは、「推論の力」だ。この力は人間だけにあり、AIにはないものだ。その違いと謎を解き明かしていく。
目次
第1章 あなたはことばを、どう覚えてきたのか(ことばが指し示す範囲を探す―「ウサギ」ということばの意味は?;モノの特徴に注目する―レモンも葉っぱも「おつきさま」 ほか)
第2章 問題解決に必要な「推論の力」(「思考力」っていったい何?;推論1 相互排他の推論 ほか)
第3章 学校で必要になる「ことばの力」(抽象的なことばが出てくる「9歳の壁」;ことばでつまずくケース ほか)
第4章 AI時代の「考える力」(東大入試の結果は?生成AIの思考力とは;分数ができないChatGPT ほか)
著者等紹介
今井むつみ[イマイムツミ]
慶應義塾大学環境情報学部教授。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみや
43
第3章までの人間の思考についての考察を踏まえて、眼目は人間とAIの違いを述べる第4章である。人間は学びの過程で問題の「意味」を理解して、推論と試行錯誤をしつつ直観を磨く。一方AIは問いの本質的意味を理解しないし、直観も持たない。つまりAIには思考力も想像力もなく、記号接地もできない。できるのは集積された知識の要約と整理に過ぎない。AIには本当の意味で新しい知識を創造できないどころか、既存の知識を縮小再生産しているだけである。答えとは生成AIという外部にあるのではなく、自らの中に作り出すものなのである。2025/03/04
あみやけ
39
今日の社会科で子どもと一緒に勉強した中小工場の職人さんと似てるななんて思ってしまいました。たしかにAIにはできないことはありますが、それは人としての感性や直感をかなり磨いていかないとですね。20年後くらいにAIに負けないようにしっかり学んでいかないと。ただ、AIには人間のようなずるさはないんですよね。そこも人間味かもしれませんが、果たして負けないでいられるのか?子ども向けの本で説得力はありました。一昔前の受験学力をつけるためだけの勉強は本当のまなびではないということですね。2024/12/19
Nao023
36
Q:生成AIを使ってはいけない人がいるって本当⁉︎ A:「抽象的な概念を自分に接地させ、身体の一部にすることができる人」でないと(生成AIを使うのは)難しい。2025/01/13
ひさちゃん
7
中高生向けのノンフィクション「ちくまQブックス」。わかりやすくて読みやすい。筆者今井むつみは、認知科学や認知心理学の研究者。思考力を高めるって簡単に叫ばれてるが、そもそも思考力とはなに?高めるってどういうこと?と思うことがありこの本を手にした。中高生ではない自分は、サクッと読めて考えさせられた。自分がことばを「どう覚えてきたのか」から始まり、「推論の力」の大切さ、学校でのつまずきは「ことばの力」によるということ…等々参考になった。最後に次に読んで欲しい本が紹介されているのもいい。2025/01/02
おさと
6
今井むつみ先生の本はわかりやすくてためになる。AIのところほんとにな…。言葉が思考をつくる。2025/05/13