出版社内容情報
中国から伝わった漢字は、日本語にとってかなり不便な文字だった。日本人はどう工夫し使いこなしてきたのか。ことばの奥深さに迫るタイムトラベルに出かけよう!
内容説明
かつて中国から日本に伝わった漢字は、日本語にとってかなり不便な文字だった。日本人はどう工夫し使いこなしてきたのか。音読みと訓読み、同じ訓読みをする漢字、名前の漢字、同音異義語、二字熟語の5つのストーリーにのって、タイムトラベルを始めよう!
目次
はじめに 漢字はタイムカプセルだ!
第1章 「魔法の剣」って何て読む?
第2章 「飛び箱」と「跳び箱」、どっちが正しい?
第3章 「信長」はどうして「のぶなが」と読む?
第4章 「こうしょう」と読む熟語はいくつある?
第5章 「安心」と「心配」の違いとは?
おわりに 漢字が日本語になるまで
著者等紹介
円満字二郎[エンマンジジロウ]
1967年生まれ。大学卒業後、出版社で国語教科書や漢和辞典などの編集を担当。2008年に独立。現在はライターとして、漢字の魅力をわかりやすく伝える辞書やエッセイなどを執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
111
「こう」の漢字を調べると常用漢字表に載っているものだけで67もある。なぜこんなに同じ読み方の漢字があるのか。日本語は中国の漢字を用い変遷してきた。音読みが今のように同音になったのは室町時代から江戸時代にかけてのこと。音読みはカタカナ3語で表わせるが、訓読みは長いと10語以上になる。日本語には漢字2語が多い。明治時代に今までに概念がなかった多くの外国語を2語の漢字に置き換えた。逆にそれが中国に渡り、現代の中国語となった用語もある。日本語は、中国語の漢字との格闘から今に至る言語なのだということを改めて感じた。2022/12/27
タルシル📖ヨムノスキー
27
本書は中国で生まれた「漢字」が、日本に入ってきてどう取り入れられたかについて具体的な例を挙げ、時折クイズも挟みつつ、10代前半の子供達に向けてわかりやすく解説してくれる。音読みと訓読みはもちろん二字熟語の5分類、重箱読みと湯桶読みなど少し突っ込んだ内容から国字や国訓など日本独自の漢字の成り立ちまで取り上げている。本文には書かれていないが、明治時代に日本に入ってきたベースボールを野球と訳したのは正岡子規だとか。10代前半向けだからといって侮ることなかれ。大人が読んでも充分楽しめる内容だと思う。コレは面白い!2023/10/01
さとうしん
11
漢字が日本に伝来し、漢字・漢語が日本語化するまでの流れと、漢字・漢語の基礎知識を簡潔・明快に語る。いわゆるキラキラネームを日本人が命名をする際に特殊な訓を用いる伝統の延長線上に位置づけたり、カナの誕生を当て字の延長によるものと見たりしているのは面白い。2022/08/06
Ryoichi Ito
6
一般的な漢和辞典に載っている漢字音の種類は約300ほど,かなり大きな漢和辞典でも400ほどしかないらしい。音読みの数がこれくらいしかないから同音異義語が多いのは当然だ。たとえば,「コウ」と読む漢字は常用漢字表で67,大きな漢和辞典では400-500もある。こんなことは初めて知った。全く違う言語である中国語を書くための漢字を使って日本語を表記するためのコストは大変なものだ。 2023/10/28
ののまる
5
中国語を書き表すための「漢字」を、なんとか工夫して日本語にするまでの先人達の苦難の歴史。2025/01/19