内容説明
前衛短歌時代の幕開けを告げる昭和30年代初頭、新人の登場により展開される活発な作歌活動―戦後10年、その成果を結実させた19歌集。
目次
褐色の実(遠山光栄)
緑の墓(岡部桂一郎)
まぼろしの椅子(大西民子)
青い壁画(吉田漱)
相良宏歌集(相良宏)
宇宙塵(加藤克巳)
遠き人近き人(吉野昌夫)
藍の紋(初井しづ枝)
未明のしらべ(富小路禎子)
斉唱(岡井隆)
さびさび唄(柴谷武之祐)
白き湾(四賀光子)
断章(前田透)
乳鏡(田谷鋭)
さるびあ街(松田さえこ)
白い風の中で(生方たつゑ)
玻璃(真鍋美恵子)
空には本(寺山修司)
北の人(坪野哲久)
著者等紹介
生方たつゑ[ウブカタタツエ]
明治38年2月23日、三重県宇治山田市宮後町に生れる。大正15年、日本女子大家政科卒業。群馬県沼田の旧家に嫁ぐ。昭和7年頃より作歌をはじめ「アララギ」の今井邦子に師事。10年、第一歌集『山花集』を上梓。11年「明日香」創刊に参加したが、20年退社、暫時、作歌を中絶。23年、休詠から立上り、「国民文学」に入社、松村英一に師事。38年、自ら「浅紅」を創刊・主宰する。33年、第七歌集『白い風の中で』(昭32)で第九回読売文学賞、55年、第十八歌集『野分のやうに』(昭54)で第十四回迢空賞をそれぞれ受賞し、毎日新聞歌壇をはじめ多くの歌壇選を担当。写実を基調におきながらも、大胆、華麗に自己の心象世界を展開している。晩年の作品には夫をうしなった孤独感が深く影を落している。平成12年1月18日歿。九十五歳
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