内容説明
戦争の傷痕と経済復興の進展―昭和20年代後半、新雑誌の誕生、歌人の交流、女歌の台頭―新局面を迎えた戦後短歌を代表する21歌集。
目次
表情(安田章生)
うたのゆくへ(斎藤史)
母の歌集(五島美代子)
白蛾(森岡貞香)
鵠が音(折口春洋)
黄衣抄(山本友一)
漂流の季節(前田透)
日本挽歌(宮柊二)
風の日に(中野菊夫)
空を指す枝(三国玲子)
乳房喪失(中城ふみ子)
長風(鈴木幸輔)
行春館雑唱(大野誠夫)
麦を吹く嵐(鹿児島寿蔵)
おりえんたりか(鈴木英夫)
早笛(馬場あき子)
動物聚落(服部直人)
倭おぐな(釈超空)
木の間の道(河野愛子)
蝉(葛原繁)
方代(山崎方代)
著者等紹介
鹿児島寿蔵[カゴシマジュゾウ]
明治31年12月10日、福岡市下新川端町に生れる。大正2年、福岡高等小学校卒業。その頃より正岡子規の作品に親しみ、作歌を始める。7年、岡田三郎助の本郷洋画研究所に入る。8年、野口光彦、堀柳女らと「甲戌会」を結成、人形制作の芸術運動を起こした。翌9年「行路」創刊に参加、「アララギ」入会。昭和10年、「短歌研究・優秀作家特輯号」に「海地獄」三〇首を発表。16年、『新冬』、『潮汐』を刊行。19年、「アララギ」選者。20年、「潮汐会」を結成し、歌誌「潮汐」を創刊・主宰する。21年、関東アララギ会誌「新泉」を編集・発行した。同年、『茉莉花』刊行。25年、敗戦直後の生ま生ましい感動の歌を収めた『求青』を、27年、初期歌集『魚鱗』を刊行した。29年、『麦を吹く嵐』を刊行。43年刊行の『故郷の灯』により、第二回迢空賞受賞。写生の根源的態度からの追尋による繊細かつ堅実な歌風からさらに軽妙な作風を樹立した。また、紙塑人形作家として、36年、重要無形文化財保持者、42年、文化財専門審議会専門委員となる。昭和57年8月22日歿。八十四歳
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